大前研一 「ビジネス新大陸」の歩き方

安倍政権の「残念な政策」ワースト3、大前研一氏が発表

 中国との関係では看過できないミステークがある。中国の広域経済圏構想「一帯一路(*習近平国家主席が提唱した経済圏構想。中国西部と中央アジア・欧州を結ぶ「シルクロード経済ベルト(一帯)」と、中国沿岸部と東南アジア・インド・アラビア半島・アフリカ東を結ぶ「21世紀海上シルクロード(一路)」の二つの地域でインフラ整備および経済・貿易関係を促進するというもの)」に条件付きで協力していく、とした発言だ。

 一帯一路は中国の“新植民地政策”であり、日本は協力すべきでない。そもそも日本はアメリカや台湾と親密な関係にあるので、習近平の中国と仲良くなることは永遠にできない。喧嘩する必要もないが、この期に及んで中国に媚を売るというのは、あまりに節操がなくてみっともない。

 さらに、お隣の韓国との関係は、もはや修復のしようがないほど悪化した。つまり安倍外交は、すべて“空振り”なのである。

 第3位は「働き方改革」だ。すでに指摘したように、「時間外労働の上限規制」「年次有給休暇の取得義務化」「同一労働同一賃金」という働き方改革は、完全にポイントがずれている。働き方は業種や仕事の内容、個人の事情などによって多様であり、全国一律に規定できるものではない。政府による働き方改革は余計なお世話であり、意味不明の「プレミアムフライデー」も含めて、重箱の隅をつつくマイクロ・マネジメントの最たるものだ。国民は国家の奴隷ではないのである。

 要するに安倍政権は、国益と国民生活は二の次、三の次。まず選挙対策ありきで人気取りの場当たり的な政策を乱発し、税金の浪費で延命しているだけなのだ。こんな政権が、まだ3年以上も続いたらたまらない。次の選挙で国民の側から引導を渡すべきである。

※週刊ポスト2019年5月31日号

注目TOPIC

当サイトに記載されている内容はあくまでも投資の参考にしていただくためのものであり、実際の投資にあたっては読者ご自身の判断と責任において行って下さいますよう、お願い致します。 当サイトの掲載情報は細心の注意を払っておりますが、記載される全ての情報の正確性を保証するものではありません。万が一、トラブル等の損失が被っても損害等の保証は一切行っておりませんので、予めご了承下さい。