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「大人のひきこもり」の多くは既婚者で正社員経験者という現実

 ひきこもりの相談に携わってきたSCSカウンセリング研究所の臨床心理士である桝田智彦さんが解説する。

「40才以上の人がひきこもるきっかけでいちばん多いのが『退職』です。ただし、直接的な引き金が『退職』だったとしても、その多くは、子供の頃から自己肯定感が低かったり、自己主張を控えるなど、人間関係に疲弊する傾向がある人も多い印象があります。彼らは、学生時代から不登校や退学を経験するなどして、その延長線上で、大人になってからひきこもりになると感じています。

 実は、ひきこもりのほとんどが正社員経験者であり、復帰を望むのかと思いきや、6割以上が復帰を望んでいません。もう社会は“こりごり”なのでしょう。ひきこもって必死に“自分を守っている”のです」

 典型的な中高年のひきこもりのイメージは、年老いた両親(80代前後)がひきこもりの子供(50代前後)の生活の面倒をみる「8050問題」のように、「老親と同居する独身の子供」というものかもしれない。

 だが現実には、正社員として就職した後に家庭を築いてから、仕事や職場でのつまずきがきっかけで退職し、配偶者や子供と同居しながらひきこもりを続ける人も多いのだ。統計上、ひきこもりには男性が多いので、「妻や子供と暮らす夫がひきこもる家庭」がかなり存在すると考えられる。レター・ポスト・フレンド相談ネットワーク理事長の田中敦さんが話す。

「実は、各種統計の中には、『早期リタイア』や『定年退職』をした後、地域や近所との人間関係がうまく作れなかったり、外出のきっかけになる趣味がなかったりして、家から一切出なくなった人もひきこもりにカウントされています」

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