田代尚機のチャイナ・リサーチ

韓国、日本の輸出管理強化で中国から調達試みるも代替は困難か

 中国はフッ素系製品の原材料となる蛍石の世界最大の生産国であり、フッ化水素に関しては、純度の低い製品であれば、高い生産能力がある。多くの企業が参入しているが、その中で、多フツ多化工以外にも、三美股フェン(603379、上海A株)、巨化股フェン(600160、上海A株)、晶瑞股フェン(300655、深センA株)といった企業は、電子部品製造レベルで使える製品を作る能力があるだろう。中国以外ではロシアがフッ化水素の提供を提案しているようだ。いずれも、すぐには無理だとしても、半年、1年後ということであれば、対応可能であるかもしれない。

 レジストについては、現状で中国企業が有機EL製造に使われるような高品質の製品を作ることは難しいようだ。ただし、晶瑞股フェン(300655、深センA株)では、日本企業から専門家を招き、研究開発グループを発足させている。また、中古ではあるが必要な製造装置を購入済みである。そのほか、強力新材(300429、深センA株)も、将来的には高品質のレジストを造る能力があるとみられている。

 一方、ディスプレイ用樹脂材料の製造については、現段階では、中国企業にとっては難易度が高いようだ。

「ホワイト国」でなくなれば韓国経済に大打撃も

 日本はさらに、追加の措置も検討している。日本は安全保障上の信頼関係を築いている国として韓国を「ホワイト国」に指定しているが、これを外すことを視野に入れている。ホワイト国でなくなれば、軍事転用の可能性がある広範な品目について、韓国は輸入の都度、日本から審査・許可を求められる可能性が生じる。別の分野についても、原材料、部品の調達ができずに、経営に深刻な影響を受ける韓国企業が出てきそうだ。

 韓国は相対的に人口が少なく、国土が狭く、資源が乏しい。その結果、産業構造に厚みがない。韓国のエレクトロニクス産業は確かに世界を席巻しているが、そうしたリーディング産業でさえも、いろいろな細かい技術、部品については、日本からの輸入に頼っているのが現状である。

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