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KFCとモスで明暗 「ちょい高級路線」歩んだ両者を分けたもの

ケンタッキーとモスバーガーの明暗をワケたものは?

ケンタッキーとモスバーガーの明暗をワケたものは?

 2月初旬の平日の昼下がり。都心の「ケンタッキーフライドチキン」(KFC)の店頭は、大勢の客で賑わっていた。

 店内でオリジナルチキンをほおばる親子連れや、ひとりでチキンフィレサンドにかぶりついている中高年男性まで、客層は幅広い。

「以前はケンタと言えばクリスマスや子供の誕生日のような“ハレの日”にしか食べなかったけど、最近は500円のワンコインで買える割安なセットも出てきたので、ひとりでフラリと行く機会が増えました」(40代会社員)

 KFCは2018年3月期まで2年連続で売上高が前年割れ。それが2019年9月期の連結決算では売上高が前年比8.5%増の381億円、営業利益は5倍の24億6600万円、客数も前年比12%増というV字回復を見せた。

 一方、同じファストフード業界では、これまで堅調だった「モスバーガー」が2019年3月期決算で純損失9億700万円の赤字を計上。通期の赤字は11年ぶりだ。

 KFCもモスも同じ“ちょい高級路線”を歩んできた人気ファストフード店だが、両者を分けたものは何か。外食チェーン事情に詳しい調達アナリストの坂口孝則氏が解説する。

「KFCの長年の課題は、いかに“日常的に利用する客”を呼び込めるかどうか、でしたが、『500円ランチ』を始めとする低価格メニューの拡充でこれを成し遂げた。高級で手を出しにくいイメージをうまく脱却して、新しい客層を開拓しました。

 逆に、高級路線の維持で苦戦しているのがモスでしょう。最近は『シェイクシャック』など、もっと高価格でプレミアム感のあるハンバーガー店が登場し、モスの強みである“贅沢感”が薄れている」

 モスは昨年9月以降、「海老天七味マヨ」や「ジャンボメンチ」など、期間限定の新メニューを次々展開。巻き返しを図っているが、「低価格帯路線に舵を切ることができず、中途半端に埋没しているのが現状です」(坂口氏)

※週刊ポスト2020年2月28日・3月6日号

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