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確定申告 医療費控除かセルフメディケーション税制かの分水嶺

 医療費控除とセルフメディケーション税制は併用できない。そのため、2択を間違えると思わぬ損をすることになる。

 Aさんは糖尿病だけでなく、慢性的な腰痛のための湿布薬、胃もたれを抑える胃薬、歳をとってから風邪をひきやすくなり、風邪薬を購入することも増えていた。

 Aさんの年間の医療費15万円の内訳を見ていくと、医薬品の領収書の合計額は8万円。この場合、セルフメディケーション税制を使うと控除額は6万8000円となる。

「所得税と個人住民税の減税額は合計2万円を超えてきます。医療費控除より5000円以上多く取り戻せる」(山本氏)

 基本的には、がんなど大病を患って入院加療した場合、医療費控除を利用したほうが節税効果は高い。しかし、それもケースによって異なる。

「高額療養費制度で自己負担額は減らせるし、がん保険などの入院給付金は医療費から差し引くため、“がんの手術を受けた年”でも、医療費が10万円を超えないケースはよくあります」(山本氏)

 10万円を超える水準で、どちらが得かわからない場合は「あらかじめ医療費とOTC医薬品代のそれぞれの金額を計算しておけば、税務署の確定申告相談会場で教えてもらえる」(山本氏)という。

 申告時、どちらも領収書などは5年間の保管義務だけで提出する必要はないが、セルフメディケーション税制を使う際は注意する点がある。

「制度を利用するためには市町村や勤務先の健康診断、がん検診の受診など要件があり、それを証明する領収書や健康診断書を提出しなければなりません」(山本氏)

※週刊ポスト2020年2月28日・3月6日号

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