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日本人女性が経験した南アフリカの厳戒ロックダウン生活

交通機関でのマスク着用は義務だが、店内に関して規制はない

交通機関でのマスク着用は義務だが、店内に関して規制はない

 ソーシャルディスタンスなどのルールを守らない市民に対し、警察は容赦なくゴム弾を発射したり、逮捕したりするという強硬策で取り締まっている。厳しい取り締まりを行う背景には、過去にHIVや結核などの感染を防げなかったことがあるが、Sさんは、死傷者が出るほどの厳罰による反動も懸念する。

「ロックダウンになり、生活が特に厳しくなっているのは、ハウスキーパーや庭師、土木作業員といった、日雇いで働く人たちです。彼らのなかには貯金や銀行口座もない人も少なくない。また、他のアフリカ諸国から来た身分証明書のない不法労働者も多く、政府が行う補助金も受給出来ない可能性が高い。そのような背景もあってか、一部の地域では、スーパーや酒屋への強盗、暴動も増えているようです」

普段は生息地で穏やかに過ごす動物たち。ロックダウン下では街中での目撃情報も増えたという

普段は生息地で穏やかに過ごす動物たち。ロックダウン下では街中での目撃情報も増えたという

 南アフリカでは、そうした強い規制にもかかわらず、感染拡大に歯止めがかかっていない。それでも、経済活動の停滞への危機感から、政府は5月1日からロックダウンを段階的に解除することに踏み切った。移動は必要な場合に限られるものの、経済活動も、製造業など一部の事業から再開される。

 Sさんは、果たしてロックダウンが“正解”だったのかわからないと話す。

「死者が出るほどの厳しいロックダウンをしても、感染者数は増加。また街では暴動も増え、最大手の航空会社の破綻が報じられるなど、経済活動は困難を極めています。正直、厳しい規制で良かったのか……という疑問は残ったままです」

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