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【日本株週間見通し】20000円回復の日経平均は直近高値更新を窺うか

 中国4月の貿易収支において輸出が予想外の増加に改善したほか、貿易協議に絡んで米中首脳による電話会談が実施の見込みとなったことで、7日のNYダウが反発、ナスダック指数は4連騰となったことを好感し、8日の東京市場も買い先行でスタートした。時間外取引で米株価指数先物が上昇したことに加えて、米中閣僚による電話協議が友好的な内容だったことが好感され、日経平均は後場に入っても次第高を保った。大引けの日経平均は前日比504.32円高の20179.09円と続伸し高値引けとなった。週間ベースでも2週連続高となった。

 今週の日経平均は直近の4月30日高値20365.89円更新を窺う動きが見込まれる。引き続き20000円台乗せにおける日経平均の上値の重さが意識され、腰を据えて買い上がりにくいなか、時間外取引でのNYダウ先物や為替相場、原油市況といった外部材料に左右されやすい展開となることが予想される。

 パンデミックとなった新型コロナウイルスの責任を巡り、米中関係の緊張が新たな相場の火種として浮上してきたことも懸念材料だ。早ければ今週中と報じられている電話による米中首脳会談の動向にも警戒が必要だ。加えて、米中の4月小売売上高の発表が15日に控えるなど、主要経済指標の発表が週を通じて多いことも相場のかく乱要因となってくる。「セルインメイ」(5月に売れ)という相場格言も意識されやすい。

 一方、欧米では新型コロナウイルスによる活動制限が緩和されるなど、経済活動正常化への期待が、株式相場を下支えしている。また、ナスダック指数が7日にかけて4連騰となるなどハイテク株や半導体、電子部品関連が上昇をリードし始めていることはプラス要因だ。

 国内では、4日に新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言が5月31日まで延長されたが、東京都など13の「特定警戒都道府県」以外の34県は一定の感染防止策を前提に、社会・経済活動の再開が一部容認された。これを受けて、GMS(総合スーパー)のイオン<8267>は、自治体の休業要請の解除などを踏まえ、13日から新潟県など19の県にある42のショッピングモールでの営業再開を打ち出している。さらに、安倍首相は14日をめどに感染状況などを分析し、解除の前倒しを検討としており、経済活動の再開に向けた期待が相場の押上げ材料として働いてきそうだ。

 物色の流れのカギを握るのはやはりハイテク株となるだろう。7日から延期されたソニー<6758>の決算発表は13日午後15時、同16時からオンラインで業績説明会が実施される。このほか、11日に三菱電機<6503>、塩野義製薬<4507>、12日にトヨタ<7203>、ホンダ<7267>、NEC<6701>、13日に武田薬<4502>、14日に富士通<6702>、15日にNTT<9432>、三菱UFJ<8306>などが決算発表を予定している。

 ある程度の厳しい決算をマーケットは想定しており、むしろ決算通過によるアク抜け感を誘いやすい地合いとなるだろう。なお、ソフトバンクG<9984>の決算発表は18日大引け後が予定されている。一方、8日に一服したマザーズなど新興市場は、アンジェス<4563>の動きが全般を左右しそうだ。

 今週の主な国内経済関連スケジュールは、11日に4月27日開催の日銀金融政策決定会合の「主な意見」、12日に3月景気動向指数、13日に4月景気ウォッチャー調査、2019年度と3月の国際収支、14日に緊急事態宣言の前倒し解除発表の検討メド、4月マネーストック、4月工作機械受注、15日に4月国内企業物価指数の発表がそれぞれ予定されている。

 一方、米国など海外主要スケジュールは、12日に中国4月生産者・消費者物価指数、米4月消費者物価指数、13日に米4月生産者物価指数、14日に米4月輸出入物価指数、15日に中国4月工業生産、中国4月小売売上高、中国4月都市部固定資産投資、米4月小売売上高、米5月NY連銀製造業景気指数、米4月鉱工業生産・設備稼働率、米3月企業在庫、米5月ミシガン大学消費者マインド指数が予定されている。

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