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コロナで変わったお墓模様 納骨の簡素化、四十九日法要の延期…

コロナ禍は「納骨」の簡素化に弾みをつけているのか(イメージ)

コロナ禍は「納骨」の簡素化に弾みをつけているのか(イメージ)

 新型コロナウイルスは、これまでの私たちの生活を大きく変えた。働き方や人間関係、食事の作法…それは生き方にまで及ぶ。いつ感染するかもしれない、重症化するかもしれないという不安と隣り合わせのコロナ時代に、私たちの死生観やお墓、供養のカタチはどう変わっていくのか。著書『いまどきの納骨堂 変わりゆく供養とお墓のカタチ』(小学館)で新しいスタイルのお墓とお墓に悩む人々を活写した井上理津子さんがレポートする。

 * * *
 ゴールデンウイーク中、東京都立霊園で、これまで見たことのなかった「納骨」の光景を見た。

 喪服姿の40~50代とおぼしき男女がタクシーを降り、まっすぐお墓に向かう。女性が紙袋を提げている。お墓では、作業着を着た男性が待っていた。

「じゃあ、お願いします」「はい、では」といったやりとり。作業着の男性は石材店の人のようだ。ノミ(工具)で暮石の手前下部を叩いて、カロート(骨壺の収納場所)を開ける。喪服の女性が、紙袋から骨壺を取り出し、石材店の人に手渡す。骨壺がカロートに入れられ、暮石が閉じられた。その間、わずか3、4分。

「ありがとうございました」

 喪服の男女も石材店の人も墓前で合掌した。しかし、すぐさま立ち去った──。

 納骨は、僧侶の立ち会い、読経、供花が伴うのが一般的だ。しかし、僧侶も頼まず、花の一輪も水も手向けられなかった。もっと言えば、そのお墓の敷地は雑草だらけで、暮石も汚れたままだが、掃除も一切されなかった。

「火葬場から霊園に直行して来た人でしょう。“直葬の直葬”。お墓を遺骨の収納所としか考えていないんです。去年あたりから、時折目についていましたが、コロナ禍で『3密を避けるため』などと言い訳がつく。私の肌感覚では、今、増えています」と、霊園近くの花屋のスタッフが、眉間にしわを寄せて言う。

 直葬とは、葬式を行わず、故人を病院から火葬場へ直接運ぶこと。5、6年前から最小の見送り方として、その呼び方が定着したが、私が目にしたのは、さらに火葬場から霊園へも直行した人たちだったのだ。

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