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梅雨の傘忘れ対策 「今の雨がいつ止むか」を判断する最適ツールは?

 そうした実況監視が有効であることから、気象庁は雨雲の動きが分かる「高解像度降水ナウキャスト」を提供している。だが、これは全国の雨雲の動きを図示したもので、詳細な地域の情報を知るのに向いていないし、全国のアメダスの観測所(約1300か所)に設置された雨量計も数が多いとはいえない。もう少し細かく雨の分布を示す情報はないものか。

 東京電力は、関東地方を中心に、東北地方南部から長野県や静岡県の一部の地域までの雨量・雷観測情報を提供している。過去1週間の状況を5分刻みで見ることができるため、雨量のある地域の動きを細かく見ることで、今いる場所では何時間後に雨が止むか、おおよその検討がつけられる。東京都下水道局も、「東京アメッシュ」で東京都内の雨の情報を伝えている。こちらはサイト内の「再生」ボタンを押すと、雨雲の動きが動画で確認できるため、容易に雨の降る強さや動きを知ることができる。

 また、理化学研究所などでは、雨雲を立体的に観測できる最先端技術を駆使したスマホアプリ「3D雨雲ウォッチ」を提供。雨雲発達の様子や雨足の強さ、雨雲内部の様子を30秒ごとに立体観測し、ゲリラ豪雨の前兆を素早く捉えて通知してくれる。過去の的中率は80%以上だという。

 今年の梅雨も終盤に入ってきた。梅雨の終わりは雨と晴れ間の変化が大きい。さまざまな情報で雨の降り方の動きが分かれば、「今日はしばらく雨だから長傘にしよう」「昼以降に雨が止むから、折り畳み傘にしよう」という判断もできる。大事な傘を電車内に置き忘れることも少なくなるに違いない。

【プロフィール】たんげ・やすし/気象予報士。日本気象予報士会東京支部長。著書に『気候で読む日本史』(日経ビジネス人文庫)。『気候で読み解く日本の歴史―異常気象との攻防1400年』(日本経済新聞出版)、『気候文明史』(日本経済新聞出版)、他。

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