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暦の上での「立夏」や「立秋」、実際の季節感と合わないカラクリ

2019年の「立秋」前日、35℃以上の猛暑日を記録した東京都心(時事通信フォト)

 毎日何気なく目にする天気予報。だが、通勤や移動、旅行の計画から健康状態まで、天候の変化は日々の暮らしに大きく影響するもの。気象予報士の田家康さんが、旬なテーマをピックアップし、知って得する天気のお役立ち情報をわかりやすく伝える。今回は、よくニュースなどで聞かれる「暦の上」の季節について。

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 季節を表す味わい深い言葉に「二十四節気」がある。「春分」「夏至」「秋分」「冬至」をベースとして季節を24に分けたもので、「立春」「立夏」という季節の始めの時期や、「雨水(うすい)」「白露(はくろ)」「霜降(そうこう)」といった天候を示すもの、さらに「啓蟄(けいちつ)」のように春になって虫達が地上に出てくる現象を表したものまである。テレビのニュースでも、アナウンサーが冒頭で「暦の上では夏です」と二十四節気を説明する場面も度々見るものだ。

 今年は、長い梅雨がようやく明けた。7月28日の九州南部を皮切りに、8月2日までに九州北部・中国・四国・近畿・関東甲信・東海・北陸・東北南部地方と続々と梅雨明けが発表され、ようやく夏本番の季節が到来する。

 しかし、暦の上での二十四節気と実際の季節は全く合っていない。今年の7月6日は「小暑」、7月22日は「大暑」だが、小暑の頃はまさに梅雨の真っ盛りであり、時折気温が4月並みに低下したこともあった。大暑の時期も、今年は沖縄を除いて梅雨明けしておらず、「暑い夏」とは言い難い気候だった。

 8月7日にも「立秋」が来るが、過去30年間の東京の気温を平均値で見ると、最も高い時期は8月5日から9日にかけてだ。この期間の平均気温は26.7℃、最高気温は31.1℃である。まさに夏の盛りのように感じるが、暦の上では秋、二十四節気にはこうした「ズレ」があるのだ。

 この理由は、二十四節気の由来にある。もともと、中国内陸部にある陝西省西安市付近の古い郷土暦が発祥とされ、この辺りでは確かに7月に気温のピークが来て、8月に入ると気温が下がり、爽やかな秋空が広がり始める。北京市の気温の推移を見ても、1年で最も高いのは7月半ば頃であり、8月初旬には6月並みへと下がっていく。

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