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過去最大赤字のANA もし小倉昌男氏が社長だったらどうするか

宅急便の生みの親である小倉昌男氏(時事通信フォト)

宅急便の生みの親である小倉昌男氏(時事通信フォト)

 航空業界の置かれた環境は依然として厳しい。こうした状況下では、常識にとらわれず、事実を冷静に見てかじ取りができる経営者が必要である。

 小倉氏の優れた経営手腕が発揮された事例がもう一つある。かつてヤマト運輸は三越を最大顧客としていた。三越は業績悪化したときに、配送料の引き下げと三越流通センターの駐車料金徴収を通告し、ヤマトは呑んだ。その後、三越は業績が回復したが、配送料などはそのまま維持され、ヤマトの三越出張所は赤字になった。

 そこで小倉氏は、先代から50年余にわたって取引を続けた三越との契約解除を決断した。過去のしがらみに囚われず、不採算事業には厳しく対応する経営者だった。

 ANAが生き残っていくためには、不採算路線の見直しが必要だが、航空事業は公益事業なので政府や政治家から圧力がかかる可能性もある。

 小倉氏は1986年に運輸省に対して宅配便事業の路線免許取得を求めて行政訴訟に踏み切り、メール便についても旧郵政省や総務省と信書論争を繰り広げた。経営だけでなく、政府や政治家と真っ向から戦える部分も合わせて、ANAの立て直しを任せてみたい人物だろう。

※週刊ポスト2020年8月14・21日号

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