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田代尚機のチャイナ・リサーチ

観光業界が切望、中国人観光客の復活は「2月の春節」からか

中国人観光客が復活するタイミングは次の大型連休か(イメージ。Getty Images)

 中国はワクチン、特効薬の開発成功を待たずして、アフターコロナ時代に突入しつつあるようだ。今年の国慶節休暇は10月1日から8日にかけての8日間。長い連続休暇は国内消費を回復させる起爆剤となる。

 中国文化旅行部が発表した10月1~4日における延べ国内旅行者数は4億2500万人、旅行収入は3120億2000万元(4兆8363億円、1元=15.5円で計算)であった。

 同じ期間における交通機関の輸送状況をみると、全国高速道路1日当たり平均交通量は4860万8300台で前年同期比▲5.5%減、全国航空便数は5万8608便で▲8.8%減、延べ輸送旅客者数は648万人で▲9.5%減であった。全国鉄道延べ利用者数は5069万2000人。前年同期との比較データは不明だが、1日は1206本、2日は834本、3日、4日は570本を増発するなど輸送能力を大幅に拡大させており、延べ利用者数は新型コロナ流行後では最多となった(いずれも、国家部門の公表ベース)。

 これまで大型連休となれば、中国人富裕層が海外旅行を楽しみ、日本やタイ、韓国をはじめ、世界各国のインバウンド消費を支えてきた。しかし、今年は、それがほぼシャットアウトに近い状態だ。本来であれば海外旅行をしていただろう富裕層が国内旅行に回帰しているはずだ。一人当たり旅行消費単価を上昇させる効果が期待できよう。

 日本ではGo Toトラベルキャンペーンが実施されており、10月からは東京が加えられるなど、国家が主導する形で旅行需要、消費需要が喚起されている。中国でも商務部が9月9日~10月8日を全国消費促進月(活動期間)に指定。地方政府、企業が消費活動を活性化させるのを支援している。

 全国各省区市179の重点都市において、10万社余りの企業、実店舗、ネットショップ合わせて200万件余りが参加する一大イベントを展開。特別セールの開催、クーポン券の配布、クレジットカード利用による優遇措置、輸出製品を国内販売することに関する税金・手続料の免除など、地方主体で旅行需要拡大策、消費拡大策が行われている。

 もちろん、検温、消毒を徹底しつつ、顧客密度を高めないよう万全の注意を払ったうえでの実施である。新型コロナ流行第二波を懸念する声もあるが、中国には個人の移動を追跡できる健康カードシステムが整備されている。当局は第二波の到来阻止に大きな自信を持っている。

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