中川淳一郎のビールと仕事がある幸せ

地方移住したけどマイカー所持を諦めた40代男性の「発想の転換」

佐賀県唐津市に移住した筆者

 もちろん、山奥に住んでいるのならば車がないとどこにも行けないでしょうが、幸いなことに唐津の中心部に住んでいるため、車がなくても生活はなんとかなります。ですから移動用にママチャリを買い、1km以上離れた場所へ行く場合はこれを使い、それより近い場所であれば歩くようにしようと、発想の転換をいたしました。

 すると、特段不自由はないんですよね。基本的には坂がない街のため、自転車での移動が快適です。春になったら唐津城の近くで釣りでもしようと思っているのですが、地元の人に聞いた絶好の釣り場も我が家から1.2kmほど。自転車のカゴにバケツを入れ、リュックに竿をさしておけばなんとかなります。

 元々車については日々の買い物や、ちょっと離れた評判の飲食店へ行く時に使うほか、九州の様々な観光地をめぐるために買おうかと思っていました。しかし、買い物は徒歩・自転車で十分ですし、飲食店は「他にも色々あるからいいか」と諦め、観光地巡りは誰か運転に長けた人と一緒の時に行けばいい、と割り切ることにしました。

自分の未熟な運転のせいで誰かを傷つけたりしたら…

 こうした割り切りに加え、やはり考えたのはリスクとリターンの関係です。やっぱりペーパードライバー歴が長いだけに運転技術は未熟なわけで、このまま運転を続けていたら、今後対人事故を起こしてしまう可能性だって否定できない。

 自分の未熟な運転のせいで誰かの人生を終わらせてしまうというのは、あまりにも申し訳なさすぎます。そして、自分自身の人生も終わる。そこまでのリスクを負ってまで運転をする必要性は、とりあえず唐津というコンパクトシティではないかな、と思いました。

 先日、私と同じく東京から移住してきたという女性と話をしたのですが、彼女も同じ考えでした。

「最初は車を買おうかと思ったのですが、意外となくても大丈夫なことが分かったの。私、注意力散漫だから、誰かを傷つけたりしたら大変だし、とりあえず車はやめたわ」

 まったく私と同じ考えを口にしました。結局、ある程度、徒歩圏内に生活必需品を買える場所があるのならば、地方であっても自家用車は必須ではありません。娯楽は多少制限されるかもしれませんが、元々私はドライブ旅行に行くこともなかったわけで、東京時代の生活をそのまま維持すればいいかな、と今は思っています。

 さらに、福岡に行くにしても、1時間に2本のバスが運行しており、これが快適なんですよ。片道1050円なのですが、回数券で買えばなんと1枚680円! これも自家用車を諦める後押しとなりました。地方移住したいけど運転技術が未熟な人、高齢の親に免許返納をさせたい人は、唐津みたいなコンパクトシティの駅近くに住む、という手はありますよ。

【プロフィール】
中川淳一郎(なかがわ・じゅんいちろう):1973年生まれ。ネットニュース編集者、ライター。一橋大学卒業後、博報堂入社。企業のPR業務などに携わり2001年に退社。その後は多くのニュースサイトにネットニュース編集者として関わり、2020年8月をもってセミリタイア。著書に『ウェブはバカと暇人のもの』(光文社新書)、『縁の切り方』(小学館新書)など。最新刊は『恥ずかしい人たち』(新潮新書)。

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