吉田みく「誰にだって言い分があります」

生活苦から人気漫画グッズの転売ヤーになった大学生の葛藤

「友人がSNSで『これは流行る!』と呟いているのを見たのがきっかけでした。フリマアプリを見てみると、単行本が定価以上で売買されていたんです。時間はたっぷりある、でもバイト先がない……、そんな僕にはこれしかないと思いました」

 自分の行為が恥ずかしいとは思いつつも、生活するためにはと割り切りながら自転車で高額転売が期待できそうな商品を朝から晩まで探し回ったという。所持金がほとんどなかったので、“売れたら仕入れる”を繰り返したそうだ。竹内さんはそうした日々に「リアル自転車操業ですよね」と苦笑する。

 竹内さんが目を付けた商品は、人気漫画の単行本と、キャラクターグッズが当たるくじ。単行本は定価の約2倍の1000円、1回650円のくじは当たるキャラクターによって価格が変動するものの、例えばタオル1枚に2000円近い価格がついたという。

「送料や手数料を考えると、1割ほどしか利益が出ないこともありました。何回かやっているうちに、自分の行動が情けなくなってきて……」

 自分自身に迷いが出はじめた頃、母から一本の連絡が入ったという。

「僕の生活を心配してくれていました。この電話が来たことをきっかけに、転売はやめることにし、生活を立て直すことを決めたんです」

 母との話し合いの結果、一旦実家へ戻ることを決めた竹内さん。基礎疾患持ちの母に迷惑をかけないよう、感染症対策をより一層意識した生活を送りたいと話していた。

 2度目の緊急事態宣言が発令されるなど、新型コロナウイルスの終息はまだ先のように見える。竹内さんのケースのように、困窮している学生も多いはずだ。生活が苦しくなると、目先の利益に飛びつきたくなることもあるかもしれないが、一旦立ち止まって考え直してみてほしい。

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