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春にGo To再開なら第4波到来か 「格段に深刻な被害が出る怖れも」

春に感染者数が落ち着けば、Go To再開の可能性も?(時事通信フォト)

春に感染者数が落ち着けば、Go To再開の可能性も?(時事通信フォト)

 コロナ禍が続くなか明けた2021年だが、春の訪れとともに再浮上するのは、非難轟々のあのキャンペーンだ。政治ジャーナリスト・角谷浩一氏はこういう。

「二階俊博・幹事長肝煎りのGo Toキャンペーンは現在一時停止中ですが、政府与党の調整によって、事業自体の期限は6月まで延長されています。春になってコロナの感染者数が減っていけば、二階幹事長からGo To再開の圧力がかかることは間違いありません。いくら世論が反発しても、予備費があり、国会で予算審議をしなくても実施できる基盤もあるので、経済を優先する菅義偉・首相もGo To再開に傾いていくでしょう」

 実際、二階氏は感染が急拡大していた1月4日、全国旅行業協会会長としての年頭所感で、〈本年も当協会は、旅行・観光産業のコロナ禍からの回復を目指し、一致団結して国内旅行の需要喚起と国内観光の振興に取り組んでまいります〉とし、日本人の海外旅行やインバウンドについても、〈段階的緩和の実施を要望してまいります〉と観光振興に強い意欲を見せた。

 第2波の感染者が増加した昨年7月、官房長官だった菅氏は二階氏とタッグを組み、「感染拡大防止と社会・経済の回復を図ることを両立させることが大事」として、Go Toキャンペーンの開始を強行した。その後、安倍晋三・前首相が退陣し、二階氏から支援を受けた菅氏が自民党総裁選で圧勝して総理の座を手に入れたわけだ。

 観光業界は、“総理にしてくれた恩人”である二階氏の政治基盤でもある。だからこそ菅首相は第3波が深刻化した昨年11月にも、政府のコロナ分科会や医療関係者の批判に耳を貸さず、ギリギリまでGo To事業の運用を続けた。

 その結果、感染急増を招いたわけだが、甘い見通しでGo To再開に踏み切れば、失敗を繰り返すことになる。医療ガバナンス研究所理事長で医師の上昌広氏が指摘する。

「拙速なGo To再開で人の移動が活発になれば、第4波が到来して感染者が爆発的に増加すると考えられます。しかも現在のように甘い検査体制のままでは、より感染力が強く変異したウイルスが国内に入り、これまでより格段に深刻な被害が出る怖れもあります。

 また、諸外国ではコロナ患者を拠点病院に集めて集中治療を行ない、他の病気は他の病院が診ることで医療崩壊を防いでいますが、日本にはそうした動きが見えない。根本的な対策を取らない菅首相のもとでは、いつまで経っても日本だけ感染が収束しない可能性があります」

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