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後期高齢者の医療費負担増が家計を直撃 団塊世代の資産狙い撃ち加速

団塊世代を狙い撃ちする医療費負担増(イメージ)

団塊世代を狙い撃ちする医療費負担増(イメージ)

 政府は「年収200万円以上」(単身者の場合)の後期高齢者(75歳以上)の医療費窓口負担を1割から2割に引き上げる医療制度改革法案を今国会に提出する方針だ(1月29日の与党政策責任者会議で了承)。

 施行は団塊世代が後期高齢者になり始める「2022年度後半」とすることで与党は合意している。2022年度の頭(4月)からにしなかったのは、その年の夏に参院選が予定されており、選挙直前に負担を増やせば批判を浴びて票を減らすことを恐れたからだろう。

「年収200万円以上」の高齢者はどんな層なのか。厚生年金の平均受給額は男性(65歳以上)が月額17万1305円、年間約206万円(2019年度)だ。つまり、平均的な元サラリーマンは“収入に余裕のある高齢者”と見なされ、これまでは1割だった75歳からの医療費の自己負担割合が2倍に引き上げられる。医療制度に詳しいファイナンシャルプランナーの黒田尚子氏が語る。

「厚労省の『医療保険に関する基礎資料』によると、後期高齢者が入院、外来、調剤(薬代)などで支払う医療費の自己負担額は1人あたり年間約6万5000円です。3年間は緩和措置があるものの、2割負担になると約13万円に増える計算です」

 高齢になれば通院や入院が増える。年金生活で収入を増やす手段がなければ、医療費負担は家計に重くのしかかる。

 そのため健康保険制度には69歳までは医療費3割負担、70歳以降は「1割」に下がるというセーフティネットがあった。しかし、団塊世代が60代後半にさしかかった2014年4月には「70~74歳」の医療費が2割に引き上げられ、そして今回、団塊世代が75歳を迎えるにあたって「75歳」からの医療費も2割になる。

 団塊世代の資産狙い撃ちが、このタイミングで加速していく。

※週刊ポスト2021年2月19日号

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