吉田みく「誰にだって言い分があります」

マスクの家庭内在庫を近所に“お裾分け”した主婦が抱く罪悪感

1年前は不織布マスクの品不足が続いていた(イメージ。Getty Images)

1年前は不織布マスクの品不足が続いていた(イメージ。Getty Images)

 新型コロナウイルスの感染拡大が止まらず、1都3府県を対象に3度目の緊急事態宣言が発令されている。日本でも感染力の強い変異株が流行し始めていることもあり、今後の感染状況については予断を許さない状況が続く。消毒液やマスクの常備など、各家庭での感染対策も進んでいる状況だが、そうした中で思わぬ悩みを抱いている人もいるようだ。この1年以上、家族の感染対策にも力を尽くしてきたという40代主婦に、フリーライターの吉田みく氏が話を聞いた。

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 新型コロナウイルスの影響で欠かすことのできない存在となったマスク。需要が供給を大きく上回った結果、約1年前には限られた数の不織布マスクを求めて早朝からドラッグストアに行列ができたり、インターネット上で高額転売されたりして社会問題に発展した。しかし現在では品薄状態も解消され、手に入れることも容易になった。

 一概にマスクと言っても、選ぶ際のポイントは、素材、機能、生産国、価格……と、さまざまある。新型コロナウイルスの場合は咳やくしゃみなど飛沫による感染が指摘されているため、PFE(微粒子ろ過効率試験)やVFE(ウイルスろ過効率試験)をクリアしたものを選ぶことが推奨されているようだ。ところが中には、品質表記の信憑性が低いマスクが出回っているとの情報もある。購入の際には、パッケージに検査機関名が明記されているかなどをチェックし、信頼できる製品かどうかを判断することが大切だ。

 都内在住の専業主婦、井上まりさん(仮名・48歳)は、新型コロナウイルスの感染が拡大し始めた昨年春頃、不織布マスクを求めて毎日のようにドラッグストアへ足を運んでいたそうだ。

「我が家は夫と高校生の息子2人の4人家族。外出時にマスク必須となった時は本当に焦りました。仕事をしていない私が、家族のためにマスク探しをするしかないと思い必死になりました」(井上さん、以下同)

 店頭に並んだり、ネット情報を頼りに通販サイトに張り付いたり……。昨年の今頃の井上さんの頭の中はマスクのことで頭がいっぱいだったという。井上さんの努力のおかげでマスクを確保し続けることができ、井上家では一度もストックに困らずに過ごすことができたそうだ。

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