吉田みく「誰にだって言い分があります」

マスクの家庭内在庫を近所に“お裾分け”した主婦が抱く罪悪感

 それから1年が経ち、今ではその不織布マスクの在庫の山がちょっとした問題となっていると、井上さんはため息をついていた。

「手当たり次第に購入したので、聞いたことのないメーカーのマスクが大量にあります。当時はマスクなら何でもいいと思っていましたが、最近は日本製かどうかや、品質にこだわったほうが良いと思うようになったんです。感染力が強いといわれる変異株も出現していますので、神経質になってしまいますよね」

 不織布マスクに対する考えに変化が起き始めた井上さんは、知名度のあるメーカーから販売されているものに使用を限定し、説明文に違和感のあるものや品質表記に不安があるものの使用は控えることにしたという。その結果、使わないと決めた不織布マスクたちが行き場をなくし、いつまでも自宅の収納スペースに居座る結果になってしまったのだ。

「ざっと数えただけでも50箱くらいあります……。一時期はご近所さんにお裾分けしていたのですが、渡すたびに立派な菓子折りなどをお礼にいただいてしまって、逆に気を遣わせてしまったことが心苦しく、渡せなくなってしまいました。もとはと言えば、品質に不安があるという理由で使っていないものですので、渡すことそのものも失礼なのかもしれませんね……」

 井上さんが不織布マスクを“買い直していること”は家族の誰も知らないという。処分すべきか、それとも別の用途で使えないかなど、毎日一人で考えているそうだ。

 一時期話題になったマスク騒動。井上さんのように在庫確保に必死になった人も多いかもしれない。この機会に一度、手元にある不織布マスクが安心して使うことが出来る品質かどうかを確認してみて欲しい。

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