キャリア

今もくすぶり続ける「老後資金2000万円不足」問題の“雑な警鐘”

 報告書の計算だけ見ていると、毎月の生活費が65歳以降、ずっと変わらないように感じられるが、実際には年代によって大きく変わる。“年金博士”こと社会保険労務士の北村庄吾氏が説明する。

「60代はまだ体も動くので外出する機会が多く、交際費などがかかるが、70代、80代と歳を重ねていくにつれ、そうした出費が減って、生活費が抑えられていきます」

 たしかに総務省の「家計調査」をみると、毎月の生活費は60~64歳の世帯で約30万円かかっているのが、5つ年齢が上がるごとに約2万円ずつ減っていき、80~84歳世帯では約20万円となる。60代前半と比べて80代前半は、毎月の生活費が10万円も少なくなるのだ。

「60代になったらとにかく倹約」という考え方では、健康なうちに人生を楽しむチャンスを失いかねない。だからこそ、「資産の人生設計」をして、年代ごとの収入と収支の見通しを考えておくことが重要なのだ。政府の“雑な警鐘”に惑わされず、長い人生を安心して楽しむ準備をしておきたい。

※週刊ポスト2021年6月1日号増刊『週刊ポストGOLD 2021改訂版 あなたの年金』より

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