投資

【日本株週間見通し】企業決算中盤、日経平均はもみ合いか

 先週は4-6月期決算の前半戦がはじまり注目度の高い決算も多かった。それらの決算内容と株価反応を振り返ってみると、まず、製造業を中心に決算は予想通り良好だった。一方、株価反応となると明暗が分かれ、サプライズの度合いが物を言った。

 主力どころでは信越化<4063>、アドバンテスト<6857>、SCREEN<7735>、HOYA<7741>、キーエンス<6861>、ファナック、村田製作所<6981>などの決算が発表された。第1四半期実績や上方修正後の計画値が市場予想を大幅に上振れるなどサプライズがあるものはストレートに好感された一方、上振れ度合いが小幅なものは物足りなさから好決算でも売られるものが多かった。地合いが悪い分、サプライズの度合いが相当に大きくない限りはポジティブに反応しづらいようだ。決算前の先回り買いが奏功しにくいことは明白で、発表直後に内容を精査したうえでエントリーした方がよいだろう。

 また、気懸かりなのは先日の安川電機<6506>のように、決算後に買われた銘柄の持続性が弱い点だ。アドバンテストやSCREENなどは好決算を受けて株価が大幅に上昇したものの、その翌日は買いが続かず失速した。直前の米国市場でフィラデルフィア半導体指数(SOX指数)が大幅高になったという追い風があったにも関わらずだ。当日は7月30日の月末最終営業日だった。株安アノマリーが意識され、実際、全体相場も軟調だったため、需給による要因もあるだろうが、それを考慮しても弱い印象を拭えない。株価を支える買い手がいかに少ないかが分かる。

 先週発表された米国の4-6月GDP(国内総生産)速報値は前期比年率6.5%増と、市場予想の8.4%増を大幅に下回った。需要超過による部材不足や物流の停滞など供給網の制約が経済全体に影響したもよう。企業の設備投資の伸びが鈍化したほか、住宅投資は大幅に減少、在庫の取り崩しなども伸びを抑制した。以前から米中2大経済大国の経済指標の下振れや米長期金利の低下から景気のピークアウト懸念が高まっていたが、今回の米GDP速報値でそうした印象がさらに強まった印象を受ける。

 一方、米国の個人消費は11.8%増と、前四半期の11.4%増に続いて2四半期連続で高い伸びとなった。米国の企業決算と株価反応をみても、ツイッターやスナップチャット、グーグルを傘下にもつアルファベットなどオンライン広告を手掛ける企業、部材不足や供給網の制約を受けない企業の方が株価の上昇が目立つ。日本企業についても、決算への反応が厳しいことも考慮すると製造業よりは、部材不足や景気ピークアウト懸念とは関わりが薄い情報・通信セクターなどへの投資の方が奏功しやすいかもしれない。

 今週は引き続き企業決算がメインイベントとなりそうだが、そのほか、中国で財新製造業PMI(購買担当者景気指数)、米国で全米供給管理協会が公表するISM製造業・非製造業景況指数のほか、週末には米雇用統計などが発表される。足元で景気減速懸念が高まっているだけにPMIやISMには注目したい。一方、雇用統計も注目ではあるが、先日の7月FOMC後、パウエルFRB議長は最大雇用の目標には「まだ遠い」としたほか、利上げ開始時期については「ずっと先であることは明白」などと発言した。量的緩和の縮小(テーパリング)や利上げの前倒しに対する懸念は後退してきている様子で、企業決算が注目されるなか、波乱要因にはなりにくいと考えられる。

 なお、今週は8月2日に7月新車販売台数、中国7月財新製造業PMI、米7月ISM製造業景況指数、3日に米6月製造業受注、4日に米7月ADP全米雇用リポート、米7月ISM非製造業景況指数、5日に米6月貿易収支、6日に6月毎月勤労統計調査、6月景気動向指数、米7月雇用統計などが予定されている。

注目TOPIC

当サイトに記載されている内容はあくまでも投資の参考にしていただくためのものであり、実際の投資にあたっては読者ご自身の判断と責任において行って下さいますよう、お願い致します。 当サイトの掲載情報は細心の注意を払っておりますが、記載される全ての情報の正確性を保証するものではありません。万が一、トラブル等の損失が被っても損害等の保証は一切行っておりませんので、予めご了承下さい。