住まい・不動産

移住者急増の軽井沢 明治時代から育まれてきた“テレワーク”の文化

軽井沢には古くからテレワークの文化が根付いている(撮影/内海裕之)

軽井沢には古くからテレワークの文化が根付いている(撮影/内海裕之)

 1886(明治19)年、はじめてこの地を訪れた宣教師アレキサンダー・クロフト・ショーが住みやすい街にするために「時間と約束を守ること、ウソを言わぬこと、生活を簡素にすること」と呼びかけ、以来135年、誰もが憧れる避暑地として名を成してきた軽井沢に新たな変化が起きている。軽井沢の地価は前年比10%上昇し、2020年度に県外から移住してきた人の数は約1000人に上る。

「コロナ以降、『すぐに住みたい』と中古の別荘や建売を求めるお客様が増えました。先日も、完成直後の建売物件にすぐ商談依頼が入りました」(軽井沢の不動産業者)

 ここにきて人気を呼んでいる要因のひとつは、テレワークに最適な軽井沢の環境にある。「実は、軽井沢にはテレワークの文化を育んできた歴史的背景があります」と語るのは、22年前から東京と軽井沢の2拠点生活を続けている鈴木幹一・信州大学特任教授だ。

 明治時代から軽井沢は、政財界の幹部らの懇談の舞台となってきた。人が交わり議論を重ねることは、リゾート地でのテレワークの原点となり、大正、昭和には別荘文化として進化した。

「移住者同士の交流も多く、イノベーションを生みやすい環境です。こうした環境を好む人に麻布周辺のIT企業が多いことから、今の軽井沢は『北麻布』と呼ばれています。命名したのは私ですが(笑い)」(鈴木教授)

 以前の軽井沢といえば、移住するのはリタイアシニアがほとんどだった。ところが7~8年前から、ノートパソコンを小脇に抱えたITベンチャーの若者たちの姿が見られるようになった。2年ほど前から県外の人も使用できるワークスペースが充実し、働く環境が整ってきたからだ。

 新旧の文化が交錯し、姿を変えつつある軽井沢。変貌と進化が、古き良き避暑地に一石を投じている。テレワーカーたちが利用する施設を紹介しよう。

●『TWIN-LINE HOTEL KARUIZAWA JAPAN』

緑の中でクリエイティブに働く―『TWIN-LINE HOTEL KARUIZAWA JAPAN』(撮影/佐藤敏和)

緑の中でクリエイティブに働く―『TWIN-LINE HOTEL KARUIZAWA JAPAN』(撮影/佐藤敏和)

 2020年に開業。1階のレストランは、コンセントやWi-Fiを完備。館内はグラフィックアートが配されるなどデザイン性が高く、アーティストやノマドワーカーなど、クリエイティブシーンで活躍する若者を中心に人気が高い。

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