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金融機関を装ったメールを信用しフィッシング被害に 法的保護はあるか?

詐欺の手口は年々巧妙化している(イラスト/大野文彰)

詐欺の手口は年々巧妙化している(イラスト/大野文彰)

 インターネットが身近になり、便利な世の中になった一方で、「フィッシング詐欺」の被害も深刻化している。いつ誰が引っかかってもおかしくない状況であるが、もしもお金を騙し取られたならば、どうすればいいのか。実際の法律相談に回答する形で、弁護士の竹下正己氏が解説する。

【相談】
 私はインターネットバンキングを利用していますが、先日、「口座の更新期限が迫っています。至急手続きをしてください」というメールが来たので、記載されていたサイトにアクセスして手続きを済ませました。ところがその後、私の口座からお金が引き出されていたことが発覚し、詐欺に遭ったのだとわかりました。このような場合、どうしたらよいのでしょうか。お金は戻ってきますか。(42才・会社員)

【回答】
 あなたはいわゆるフィッシング詐欺に遭ったのです。フィッシング詐欺について、全国銀行協会のホームページでは「銀行を装った偽のSMSやメールを送るなどして、インターネットバンキングのログイン画面を精巧に模倣した偽のホームページに誘導し、インターネットバンキングにおけるIDやパスワード、乱数表、合言葉などの認証情報を入力させて盗み取り、口座から預金が不正に送金されるもの」と説明しています。

 あなたも本物そっくりな「口座更新のお知らせ」を見せられて信用し、パスワードや口座番号をフィッシング詐欺犯人に教えてしまったのだと思います。犯人は、あなたから盗み出した情報を使って、銀行のサーバーに不正にアクセスし、あなたの口座のお金を別の銀行口座などに送金させて騙し取る電子計算機使用詐欺をしたのです。不正アクセスも詐欺も犯罪で、捕まれば厳しく処罰されます。

 銀行等の金融機関の通帳やキャッシュカードについては、10年以上前に盗難や偽造された通帳等による被害が続出して大きな社会問題になったことがあります。それにより預金者を保護するために、預金者に大きな過失がないなどの一定の条件の下で、金融機関が補償する預金者保護法ができましたが、いまのところフィッシング被害については同種の法的保護は制度化されていません。

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