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【日本株週間見通し】今週の日経平均はもみ合いか、米実質金利の調整に注意

 一方、米国株は好調で主要株価3指数は史上最高値付近での推移が続いている。米国株高を受けた投資家のリスク選好の強まりといった外部からの恩恵を除けば、独自要因で日本株が上昇する材料が見当たらないのは気懸かりだ。

 また、根強く残るインフレにも引き続き注意を払う必要がある。10日に発表された10月の米消費者物価指数(CPI)は総合だけでなく、変動の激しい食品・エネルギーを除いたコアでも、前月比で市場予想を大幅に上回る伸びとなり、インフレ加速への警戒から、改めて金融当局による早期利上げ懸念が強まった。指標結果を受けて幅広い年限の米国債利回りが急上昇し、米10年物ブレーク・イーブン・インフレ率(BEI)も2.70%と10月高値を上抜き、歴史的な高値更新となった。

 サマーズ元米財務長官や世界有数の金融グループのアリアンツの首席経済顧問モハメド・エラリアン氏など、著名な経済人の中でも、インフレを一過性とする現在の金融当局の姿勢に警告を発する人が増えている。米連邦準備制度理事会(FRB)がいつ、政策スタンスの変更を迫られるかという懸念が今後もつきまとう。

 米10年国債利回りはCPI発表直後に急上昇したが、1.5%台後半と、3月に付けた1.7%台や10月に付けた1.6%台には至っていない。ただ、米BEIが高値圏で推移するなか、米金利が後追いで上昇する可能性もある。名目金利から期待インフレ率を差し引いた実質金利は足元マイナス1.1~1.2%と、昨年2月以降のコロナ相場におけるレンジボトム付近まで下がっている。直近の米株式市場の史上最高値更新劇の要因は主に好調な企業業績とされていたが、実質金利の低下がサポートしていた背景もありそうだ。そのため、決算発表が一巡した後、実質金利の調整(上昇)があれば、相場が下落する可能性もある。これまで米国株が上値追いのなか日本株は蚊帳の外だったため、米国株が調整しても、日本株の下落は限定的だろうが、注意したい。

 また、経済指標が相次ぐ。中国や米国での10月鉱工業生産や小売売上高といった注目度の高いものから、米国では11月のニューヨーク連銀景気指数やフィラデルフィア連銀製造業景気指数などの景況感を示す指標も発表される。企業業績を受けて強気ムードが漂う米株市場が一段と上値を試す展開となるのか、それとも好結果でも反応せず、利益確定売りが優勢となるのか注目される。

 個別では、週末に発表された東京エレクトロン<8035>の決算を週初から反映し、週後半には米国でエヌビディアやアプライド・マテリアルズの半導体関連企業の決算が予定されている。これまでの7-9月期決算を振り返ると、世界的に半導体関連株の好調ぶりが際立つ。株価反応も総じてポジティブなものが多い。世界半導体市場統計(WSTS)や半導体製造装置材料協会(SEMI)によると、半導体業界の成長は来年以降も続く見込み。半導体不足が長期化しており、顧客側も高い在庫水準を当面維持することを踏まえると、関連企業の業績鈍化を懸念するタイミングではないともいえそうだ。日米の半導体関連株の決算内容とその後の動きが年末に向けた機運を左右しそうで、こちらも注目したい。

 なお、今週は15日に7-9月期国内総生産(GDP)速報値、中国10月鉱工業生産、中国10月小売売上高、米11月ニューヨーク連銀景気指数、16日に米10月小売売上高、米10月鉱工業生産、米11月NAHB住宅市場指数、17日に10月貿易収支、9月機械受注、米10月住宅着工件数、米エヌビディア決算、18日に10月首都圏マンション販売、米11月フィラデルフィア連銀製造業景気指数、米アプライド・マテリアルズ決算、19日に10月全国消費者物価指数などが予定されている。

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