ビジネス

業績好調の不二家 高付加価値ケーキ、若者支持の菓子ヒットに見る新戦略

今年、社外取締役に迎えた女優の酒井美紀が工場を見学

今年、社外取締役に迎えた女優の酒井美紀が工場を見学

──コロナ禍では自宅でお菓子やケーキを楽しむ人が増え、足元の業績は好調ですね。

河村:巣ごもり需要が業績を押し上げたことは確かですが、以前から進めていた洋菓子事業の新しい戦略がちょうど同じタイミングで実を結んだことも大きな要因だったと思います。

 洋菓子事業はここ20年ぐらいずっと赤字続きでしたが、一昨年頃から高付加価値化、高単価にシフトしていく方向にチェンジさせました。

──赤字続きの原因はどこにあったのでしょうか。

河村:もともと洋菓子部門の主力商品は、ホール販売の誕生日ケーキやクリスマスケーキでしたが、核家族化が進み「個食ニーズ」が増えています。

 ホールケーキでは大きすぎるし、コンビニに行けば家族それぞれが好きなものを1個ずつ買える。でも不二家の店舗でカットケーキを1個だけ買うのは、お客様としてはやや躊躇するところがあったのでしょう。

──老舗であればなおさら、メイン商品の方針を変えるのは勇気がいると思います。

河村:社長就任後に店舗を回ると、「不二家のケーキは1個300円超えたら売れないよ」とずいぶん言われましたね。ただ、そんな矢先にコロナ禍が発生したことで、シフトは進みやすかったと思います。

 当社は「おうち時間スイーツ応援」というキャンペーンを打ち出し、400円を超えるプレミアムショートケーキの拡販に乗り出しました。

 外でスイーツを食べられないのであれば、自宅で少し高価なケーキを食べたくなる。巣ごもりを強いられたお客様から「何年かぶりに不二家のケーキを食べてみたけど、結構美味しいじゃないか」というお声をいただくようになったのです。

高級洋菓子店は目指さない

──高付加価値路線は今後も進めていく?

河村:社長に就任したタイミングで、「西洋菓子舗不二家」というブランドを三越伊勢丹グループさんのお店で始めました。通常商品よりもグレードが高い700円前後のケーキで、ブランド力をもう一段磨いていくことが狙いです。

 ただし、デパ地下に入っている高級洋菓子店を目指しているわけではありません。やはり不二家の商品は広く支持されるケーキであり、お菓子だと考えています。

注目TOPIC

当サイトに記載されている内容はあくまでも投資の参考にしていただくためのものであり、実際の投資にあたっては読者ご自身の判断と責任において行って下さいますよう、お願い致します。 当サイトの掲載情報は細心の注意を払っておりますが、記載される全ての情報の正確性を保証するものではありません。万が一、トラブル等の損失が被っても損害等の保証は一切行っておりませんので、予めご了承下さい。