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キッチンカーに活路を見出す飲食業界 「コロナ後も伸び代は大きい」

キューバサンドのバゲットはカリッとした食感を残しつつ、食べやすい柔らかさに工夫。何度も味を改良し納得のいくものに仕上げたという(水島さん提供)

キューバサンドのバゲットはカリッとした食感を残しつつ、食べやすい柔らかさに工夫。何度も味を改良し納得のいくものに仕上げたという(水島さん提供)

実店舗と比べれば圧倒的に安く済む

 キッチンカーは実店舗を持つより経費が抑えられるため、大きな資金が無くても始めやすいと言われる。実際、開業するのにどれくらいの費用がかかるのか。

「実店舗で飲食店を開こうと考えると、賃貸契約を交わして敷金・礼金や保証金、仲介手数料でかなりの資金がかかるうえ、毎月の家賃を払いながら内装も作り込んでいく必要があります。それに対してキッチンカーなら、自分の車を改造するケースだと100万円程度から始められ、新たにキッチンカーを購入する場合でも200万円程度と、比較的少ない出費で開業できます。

 利益面でも有利です。実店舗の場合、一般的には全体の売上のうち、食材の原価30%、人件費30%、家賃10%、光熱比・その他経費20%が差し引かれ、利益は残りの10%ほど。一方キッチンカーの場合、人を雇わない場合は人件費がかかりませんし、家賃は出店料や駐車場代がかかるものの、実店舗と比べれば圧倒的に安く済みます。コストがかからない分、質の高い商品を提供したり、スタッフを雇う際の人件費として還元することもできるのです」

 本田さんが最近、立ち上げから大きく関わったというのが、富山県在住の実業家、水島翔さんによるキューバサンドのキッチンカーだ。水島さんは、中卒で地元建設会社に就職後、漁師、大手運送会社勤務を経て、現在はFX(外国為替証拠金取引)ブログやSNSを使った情報発信、飲食事業や不動産事業などで月収数千万円を稼ぐ実業家だ。水島さんが語る。

「2020年秋頃、映画『シェフ 三ツ星フードトラック始めました』を見て、直感的に『これをやりたい!』と思ったんです。今年5月頃にイメージ通りのトラックに出会い、本田さんの助けを借りながら、キッチンの作り込みやメニュー開発、ロゴ、制服を作ったりして、ようやく10月31日にオープンできました」(水島さん・以下同)

 キューバサンドとは、ハムとチーズを使ったグリルドサンドの一種。水島さんは、様々なビジネスを行うなか、実業の一つとしてキッチンカーを始めたという。コロナ禍にあえて飲食事業を始めたのはなぜか。

「飲食業界が苦しい今だからこそ、雇用を生み出して小さな価値提供をしたいという思いがありました。コロナ禍で潰れた店もたくさんありましたが、良い店はちゃんと生き残っています。自分もそれにならって、本当に良いと思えるものを出して、自分が働きたい、行ってみたいと思えるような店作りをすれば、SNSなどでそれを伝えることで、飲食業界や地元産業を少しでも盛り上げられるんじゃないかと思ったんです」

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