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【日本株週間見通し】今週の日経平均は神経質な展開か FOMCも要注意

 今回のFOMCでは政策金利予想(ドットチャート)が公表されるため、政策メンバーの中央値が非常に注目される。前回9月時点での中央値は22年内の利上げ1回だった。株式市場は、直近の動きをみている限り、金利先物市場ほどにはFRBのタカ派色を織り込めていない印象を受ける。今回の中央値が利上げ2回程度であればハト派として受け止めそうだが、3回となると、タカ派色が強いとし、売りが広がりそうで注意したい。

 また、パウエルFRB議長の記者会見にも今まで以上に注目だ。先日の次期FRB議長としての再任が決まった際の演説では、それまでの雇用最優先でインフレは二の次とする姿勢を一変し、インフレを抑え込むことに積極的な姿勢を示した。また、固執していた「一過性」との表現も使うのを止めるべきと一変させ、ハト派だったパウエル議長のタカ派シフトは鮮明だ。そのため、以前のように、FOMC後のパウエル議長の記者会見でのハト派発言が相場の警戒感を緩和させるようなポジティブなシナリオは描きにくい。むしろ、再びタカ派色の強い記者会見となれば、火に油を注ぐような結果にもなりかねない。

 さらに、相場の関心事項から一時外れた新型コロナへの警戒も怠れない。オミクロン株に対する正確なデータはまだ完全に揃ったわけではない。米国では、感謝祭の祝日の2週間前後に、東部の多くの地域で新型コロナ感染症による入院が急激に増えたとの報告も入っている。これまでのポジティブなニュースフローを一掃するようなテールリスクも頭の片隅に置いておきたい。

 そのほか、15日に発表される11月の米小売売上高にも注目。ブラックフライデーやサイバーマンデーなどがあったとはいえ、供給網の混乱による品不足や限定的な値下げなどを背景に思ったほどには売上が伸びていない可能性などが指摘されている。市場予想を下振れると、景気停滞が意識されやすく、年末に向けた相場の機運も下がりそうだ。

 一方、12月日銀短観、中国での11月鉱工業生産や小売売上高に注目。日銀短観で景況感の判断に使われる「DI」などに大幅な改善が見られれば、仮にFOMC前後で相場が下押ししても、そこは押し目買いのチャンスになりそうだ。特に、来年度も好調な業績が見込まれ、機関投資家の投資判断でも強気の姿勢が多くみられる自動車などの輸送用機器やFA・ロボットなどの機械関連の押し目と捉えたい。

 また、景気後退が懸念されていた中国では、当局が不動産市場に対する締め付けを一部緩和すると示唆したほか、中央銀行は預金準備率を引き下げた。さらに、11月の貿易統計は予想を上回る内容となり、景気底打ち感が出てきている。鉱工業生産などがこうした見方に弾みをつけるような結果となれば、中国関連株としての性格が強い機械株には一層の後押しとなろう。そのほか、ファーストリテイリング<9983>や良品計画<7453>といった中国で事業を展開している小売企業の見直しにも繋がろう。

 なお、今週は13日に12月日銀短観、14日に米FOMC(~15日)、米11月生産者物価指数、15日に中国11月鉱工業生産、中国11月小売売上高、パウエルFRB議長会見、米12月ニューヨーク連銀製造業景気指数、米11月小売売上高、16日に日銀金融政策決定会合(~17日)、11月貿易収支、英国金融政策発表、ECB定例理事会、米11月住宅着工件数、米12月フィラデルフィア連銀景気指数、米11月鉱工業生産、17日に黒田日銀総裁記者会見、などが予定されている。

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