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土壌微生物による温暖化解決の研究 農地由来の温室効果ガス80%削減を目標

根粒菌は土壌微生物の一種で、根についた根粒というこぶのようなものの中に住んでいる。大気中の窒素をアンモニアに変換し、生育に欠かせない窒素を植物に供給している

根粒菌は土壌微生物の一種で、根についた根粒というこぶのようなものの中に住んでいる。大気中の窒素をアンモニアに変換し、生育に欠かせない窒素を植物に供給している

 N2Oを消去する効果が高い根粒をたくさん作れば、より多くの温室効果ガス削減が期待できる。ただし、N2O還元効果が高い根粒菌をマメ科の根に接種しても、それが根粒になるのは2割程度。残りの8割は、N2OをN2に還元する力がない土着の根粒菌で占められてしまう。定着率を高めていくことが、今後の課題だ。

「土壌微生物というのは、実はわからないことだらけです。そこで土壌構造の研究にも取り組み、『N2Oを出しづらい土壌』の作成にも取り組んでいます。プロジェクトには若手研究者や市民も参加し、あらゆる角度から目標達成を目指しています」(南澤氏)

 プロジェクトは5つのテーマで構成されており、その中には、イネや水田の改良によるCH4削減の取り組みも含まれる。2030年までに農地における温室効果ガスに係る循環技術を確立・実証させる目標を掲げているが、地球温暖化は想定以上の速さで進んでいる。温室効果ガスは世界のほとんどの農地で発生しているので、取り組みのスピードアップが求められている。

※週刊ポスト2022年1月14・21日号

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