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脳科学から考える「動画の倍速視聴」の注意点と正しい使い方

倍速視聴は情報を得るために、鑑賞するなら標準で

 もちろん、倍速視聴にはメリットもたくさんある。

「私の場合、膨大な学術論文の資料の中から、自分に合ったもの、本当に必要なものを選ぶ場合に、2倍速どころか4倍速くらいでチェックしていきます。そして選んだものだけをじっくり読むようにしています。これと同じことを動画再生の倍速視聴で行うのは、自分が知りたい情報を見つけるためには有効だと思います。倍速視聴そのもので満足するのでなく、満足するために倍速視聴を利用するということでしょうか」

動画コンテンツを倍速で視聴することに対する意識(2021年クロス・マーケティング調査)

動画コンテンツを倍速で視聴することに対する意識(2021年クロス・マーケティング調査)

 マーケティング・リサーチ会社のクロス・マーケティングが2021年3月に実施した調査では、倍速視聴は「内容がよく理解できない」「忘れてしまいやすい」というネガティブな意識があるという結果が出ている(別掲グラフ2)が、脳科学的にもこれは正しい認識だ。「集中して視聴することができる」のも、「自分の好きな速度で見られるので自由度が上がる」というのも正解だ。

倍速で見たいと思う動画コンテンツTOP10(2021年クロス・マーケティング調査)

倍速で見たいと思う動画コンテンツTOP10(2021年クロス・マーケティング調査)

「倍速で見たいと思う動画コンテンツTOP10」(別掲グラフ3)の最下位は、事実を記録し製作者の世界観を織りこむ「ドキュメンタリー」だった。この結果には、ドキュメンタリーというものは、流し見したり飛ばし見したりするものでない、という受け手の“良識”が反映されているのかもしれない。

 動画コンテンツはいまや多種多様で、その量も膨大だ。どのような形で視聴するかは私たちにゆだねられている。ドラマや映画の内容をサラッと把握したいなら倍速視聴で、細かい描写まで鑑賞したいなら標準再生でといった“使い分け”が求められている。

取材・文/山下和恵

※女性セブン2022年2月17・24日号

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