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上野千鶴子氏が振り返る、東大の性差別を指摘した“歴史に残る祝辞”

語り継がれる名リーダーたちの言葉【1】

語り継がれる名リーダーたちの言葉【1】

 祝辞の反響は思いがけない層にも広がり、ジェンダー問題に取り組む10代の学生たちとオンラインで新たな交流が始まったという。

「テレビに出ないと知名度は上がらないと思っていましたが、祝辞を広く知ってもらえたことで、若い世代への知名度が上がったことは大きな効果でした。東大が私にこんな依頼をしてくるのは一生に一度でしょうから、“東大入学式”という場の力を借りて、拡声器効果で言いたいことが多くの人に伝わったことはありがたいですね。

 予備知識のない18才の若者にもわかるように、専門用語をなるべく使わず、易しい言葉で書くように意識しました。祝辞は文章が短いから、あっという間に読めることも広まった理由の1つでしょう。東大にとってプラスになったかマイナスだったのかは、東大の関係者に聞いてください(笑い)」

 あれから3年、上野さんは名スピーチを通してつながった若者たちと、弱い者が弱い者のままで尊重される社会づくりについて語り合っている。

名スピーチとの出会いが人生を変える

《徳においては純真に 義務においては堅実に》

 皇后雅子さまの母校・田園調布雙葉学園の教育方針だ。雅子さまは、卒業後もずっと、この言葉を座右の銘にされているという。

 元マラソン選手の高橋尚子さんは高校時代に恩師からかけられた《何も咲かない寒い日は、下へ下へと根を伸ばせ。やがて大きな花が咲く》《疾風に勁草を知る》《丸い月夜も一夜だけ》という3つの言葉を支えにしてきたと語っている。

 野球の大谷翔平選手は、花巻東高校の恩師である佐々木洋監督の《先入観は可能を不可能にする》という言葉を胸に、「二刀流」の活躍を続けている。

 学生時代に胸に刺さった言葉が、人生を好転させるきっかけとなったのかもしれない。

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