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「給料に10万円上乗せ」を条件に解雇通告に応じたが未払い…どう対処すべきか

 使用者の責任は民事だけではありません。給料については、使用主は毎月決まった期日に、直接労働者に賃金の全額を支払う義務があり、これに違反すると30万円以下の罰金が科せられます。また予告手当の支払いをしないと6か月以下の懲役か30万円以下の罰金になります。

 仮に解雇ではなく、任意に退職したという場合でも、月給や10万円の支払い請求ができます。そして賃金の未払いについては、上記と同様に遅延損害金の対象になりますし、刑事罰があることも変わりありません。

 まずは労働基準監督署に相談するのがよいと思います。監督署は労働基準法違反の案件については警察官と同様の捜査権を持っており、事業所(お店)に立ち入って尋問する権限もあります。刑事罰は、使用者にとって何よりも怖いことで、前科者になることを避けるためになんとか支払おうとするのが普通です。

 監督署は、給与未払いの事情を調べ、確認できれば、会社に対して「是正勧告書」と題する文書を送るのが普通です。そこには「所定期日までに是正しない場合は送検手続きをとることがあります」などという言葉も記載されますから、これを見た経営者は驚いて、なんとか支払おうと努力するでしょう。

【プロフィール】
竹下正己/1946年大阪生まれ。東京大学法学部卒業。1971年弁護士登録。射手座、B型。

※女性セブン2022年5月5日号

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