快適クルマ生活 乗ってみた、使ってみた

「日本にハーレーは合わない説」を覆す!軽量ハーレーダビッドソン「RH975ナイトスター」の乗り心地レポート

 そんなハーレーに初めて触れた時、強烈に感じるのはその重さです。モデルによって様々あるのですが、大まかに言って300kg前後。 中には400~500kgを超えるものまであるのです。バイクの重量別で見れば確実に上位を独占する勢いです。アメリカのように広く平坦な状況で乗り回すなら、それほど苦にはならないかもしれません。むしろその重さがどっしりとした走行安定性を生み出し、横風などもいとわずにドコドコと走り続けることができます。

 ところがこの日本では、そうはいきません。しょっちゅうバイクを手押ししながら、狭いところで扱わなければいけなくなります。そのときにこの重量はやはりきついのです。そんなところに登場したのが車重221kgのナイトスターでした。これまで軽量級ハーレーと言われていたスポーツスターXL883Nアイアンというモデルが256kgですから、それよりも35kg軽いのです。

 そしてシートの高さは70.5cmに抑えられているので、実に足つき性はいい。軽くて(それでも他の重量級バイク並みですが……)、そして足がキッチリと地面に付き、V型ツインエンジンもハーレーにしては控えめな排気量の975ccと、さらに価格は2022モデルで195万4700~198万5500円。見れば見るほど、なんとも扱いやすいところに位置しているではありませんか。憧れをそろそろ、と考えている人、あるいは初めてのハーレー、そしてリターンライダーにとってみれば、心穏やかにならざる存在なのです。

軽量で乗りやすくても、やっぱり徹頭徹尾ハーレー

細身のボディにスピードカウルを装備。都会的でスポーティな表情を見せる

細身のボディにスピードカウルを装備。都会的でスポーティな表情を見せる

 エンジンをスタートさせ、街に乗り出しました。あの低重音をドコンドコンと響かせながら、ではありません。軽さもあるのでしょうが、振る舞いが実にジェントリーなのです。多少混雑した東京の道ですが、それでもヒラリヒラリと駆け抜ける感じは実に心地いいものです。そのストレスの少なさには、重量物となる燃料タンクをシート下に配置したことにもあると思います。ライディングスタイルは、トラディショナルですが、操作感は実に洗練され、扱いやすさが際立っているのです。うん、悪くない。これなら日本でもどこまでも走り続けていけそうです。

 信号待ちでは周囲からの視線が少々熱い。多分、「この暑いのによく乗るよなぁ」という目でしょう。間違っても「羨ましいなぁ」という人はごくごく少数のはずです。でも構いません。バイクに乗るということは「あえて不自由を囲うこと」なのです。ずいぶんと扱いやすく快適なったとはいえ、エアコンディショナーもなければ、ふんぞり返るふかふかのシートもありません。生ぬるい空気の中に身をさらし、信号待ちではエンジンの熱気がもわもわと立ち上り、容赦なく全身を包み込むのです。もちろん転倒するリスクもあります。少しばかりナルシシズムが過ぎるかもしれませんが、でも、その非日常の環境を覚悟しながら走るからこそ、心地いいのです。

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