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田代尚機のチャイナ・リサーチ

株価は軒並み急上昇 米国による封じ込め政策に立ち向かう中国半導体産業の成長力

中国の半導体産業の成長力が再評価されている(Getty Images)

中国の半導体産業の成長力が再評価されている(Getty Images)

 中国本土半導体メーカーの株価が急上昇している。足元では少し調整気味ではあるが、それでも10月31日から11月21日にかけて芯朋微(688508)の株価(終値ベース、以下同様)は35%、創輝科技(688259)は31%、卓勝微(300782)は29%それぞれ上昇している。

 中国の経済指標は消費を中心に悪化傾向を示しているものの、ゼロコロナ政策の精緻化、一部緩和などを通じて景気減速に対する過度の懸念が後退、政策期待の高まりもあって上海総合指数はこの間、7%上昇している。地合い好転が小型材料株の株価を押し上げている面もある。これまで下げがきつかった分の反動もあるだろう。

 企業業績の見通しだがグローバルでみると、見通しが良いわけではない。欧米の金融当局は足元のインフレに対応するために利上げを加速、それによりグローバル経済に対する先行き不安は高まっている。北半球が冬季に入るこの時期、中国や主な先進国では新型コロナ再流行の兆しがあり、サプライチェーンの機能低下により供給が制約を受け、インフレが高止まりする懸念もある。

 半導体需要について用途別にブレークダウンしてみると、スマホ、PC、家電向けなどでは弱含みで、たとえばNANDフラッシュメモリはメーカーが減産、在庫圧縮を進めている。在庫調整は2023年4-6月期まで続き、生産の回復は2023年下期以降になるだろうと多くのアナリストたちは予想している。一方、自動車向けは、需要好調が続く見通しだ。

 前述の芯朋微は電源管理集積回路のウェートが大きく、自動車関連向けに需要がある。卓勝微、創輝科技は通信にかかわる半導体のウェートが大きい。この分野も自動運転、モノのインターネット(IoT)の普及で、需要は今後、堅調に推移しそうだ。

 米国のバイデン大統領は10月、米国企業による半導体、半導体製造装置の対中輸出を事実上規制する政策を打ち出している。さらに、米国企業だけでなく、米国で事業を行う同盟国の企業に対しても同調するよう政治的に圧力をかけている。

 国家主権の侵害とも取られかねないこうしたやり方に対して、同盟国企業から十分な協力が得られるかどうかは未知数だ。また、米国企業にとっても中国ビジネスを失うことによる損失は大きく、面従腹背、法的な抜け道を探る動きが出かねない。とはいえ、こうした米国の強硬策による中国半導体産業全体への影響は無視できるものではなく、外交部、本土マスコミ報道を見る限り、中国政府の危機感は強い。

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