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銀行の統廃合・効率化で募る利用者の不満 メガバンク3行は苦言にどう答えるのか

利用者からの不満の声を3メガバンクはどう受け止めているのか(時事通信フォト)

利用者からの不満の声を3メガバンクはどう受け止めているのか(時事通信フォト)

 昨今、銀行では店舗の統廃合のほか、急なIT化を推進するなかで紙の通帳の発行や利用に手数料を課す動きが目立つ。負担が増える利用者について、銀行側はどう考えているのか。【全3回の第3回。第1回から読む

 円安による物価上昇で家計が悪化するなか、銀行でのこんな一幕を証言する人もいる。都内在住の70代男性が語る。

「これからの物価上昇に備えようと定期預金解約を決断し、メガバンクの支店窓口に行きました。すると、窓口の担当者から現金の使い道をしつこく聞かれた。振り込め詐欺対策かと思いましたが、説明が面倒なので『すぐに使う予定はない』と伝えたら、今度は嬉々としてNISA(少額投資非課税制度)がいかに有利かとの説明を延々とし始めたのです。生活費のため損を承知で解約するのに、能天気に投資を勧められるとは……」

 このような営業活動に力を入れる銀行側にも思惑があるようだ。経済ジャーナリストの森岡英樹氏はこう言う。

「免許業とはいえ、銀行も上場会社なので利潤を追求しなければなりません。だが、日銀によるマイナス金利の導入以降、本業の預金・貸出で高い利潤を上げることは難しい。勢い、手数料収入や有価証券投資、海外での買収を含む投融資の拡大に走ろうとしていますが、いずれも従来の利ざや収益をカバーするには力不足の感が否めません」

 本誌・週刊ポストに寄せられた利用者からの苦言に、メガ各行はどう答えるのか。

「年々来店者数が減少していることもあり、基本的に近隣に店舗がある拠点の統合を行なっています。コロナ禍とは関係なくデジタルシフトを進めていますが、高齢の方やデジタルに不慣れな方にも積極的かつ丁寧なご案内を行ない、利便性低下の阻止、向上の促進に取り組んでおります」(三菱UFJ銀行広報室)

「お客さまにご不便をおかけしている点については、貴重なご意見として真摯に受け止めます。特にご意見が多いものは改善の可否を検討し本部施策に反映するなど、お客さま一人ひとりの事情に応じ、丁寧に対応するよう努めております」(三井住友銀行広報部)

 みずほも同様に、「『新しい生活様式』に対応するため、ご来店いただかなくてもお取引ができるよう、デジタルサービスを活用したサービスの拡充を進めてきました。引き続き、個々のお客さまのニーズに基づいたサービス提供に向け不断の取り組みを進めていく考えです」(コーポレート・コミュニケーション部)と回答した。

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