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相続対策、夫から妻への生前贈与の落とし穴 不測の事態で老人ホーム入居を断念する羽目に

夫婦間の生前贈与には注意点も多い(イメージ)

夫婦間の生前贈与には注意点も多い(イメージ)

 女性の平均寿命は、男性より6年も長い。つまり、夫に先立たれたれ、相続や子供・孫への贈与、義実家とのつきあいなどが、妻にすべて降り掛かってくるケースが多いということだ。

 もし、亡くなった夫や親の財産よりも負債の方が大きかった場合、それらは残された妻や子供が背負うことになる。こうした「負の相続」は放棄することができるが、安易に相続放棄を選ぶべきではない。借金だけを選んで放棄することはできないため、もし、自宅や預貯金があった場合、それらもすべて放棄しなければならず「一文無しか、借金か」の二者択一になってしまう。

 一方、財産が多すぎるのもトラブルを招きやすい。夫婦間の相続は、財産総額が1億6000万円(または法定相続分のどちらか大きい額)までの非課税枠を超えると相続税がかかる。1億6000万円以上の財産を持つ家庭は少ないが、油断はできない。相続・終活コンサルタントの明石久美さんが言う。

「夫婦間の非課税枠は、死亡を知った日の翌日から10か月以内に申告しなければ使えないので、手続きを忘れないようにしてください」

 家や土地などの不動産は、夫婦なら生前に「おしどり贈与(贈与税の配偶者控除の特例)」を使って、非課税で贈与することもできる。婚姻期間が20年以上の夫婦で、一定の要件を満たす居住用不動産やその購入資金は、年間110万円までの暦年贈与に加え、2000万円の控除が受けられる。夫婦間の不動産贈与は最大2110万円までは無税で済むのだ。

「とはいえ、夫の財産総額を減らしたいのであれば、おしどり贈与は有効ですが、ただ自宅をもらえればいいのなら、相続まで待った方がいいケースもあります。おしどり贈与を使っても、固定資産税評価額の4%の不動産取得税と、同じく2%の登録免許税は別にかかります。一方、相続税は登録免許税0.4%で済みます」(明石さん)

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