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岸田政権の負担増ラッシュ 相続ルール変更で“節税目的の贈与”が「100万円超の大増税」になる

「3年の持ち戻し」ルールが「7年」に延長

 ただし、これには亡くなる前3年の贈与は相続財産に持ち戻すというルールもある。上記の例が亡くなる直前10年間の贈与だった場合、3年分(子2人で660万円分)の贈与は相続財産に含まれることになり、遺産は6460万円で相続税額が240万円となる。

「今回の税制改正ではこの『3年の持ち戻し』ルールが変更され、期間が『7年』に延ばされることになった。持ち戻し期間は1958年に定められた制度なので、65年ぶりのルール変更となる。2024年以降の贈与に新ルールが適用されることになるが、暦年贈与の仕組みが使いにくくなることは間違いない」(同前)

 前述した8000万円の資産を持つ親が亡くなる直前10年に子2人に110万円ずつの贈与をしたケースで言えば、これまでは240万円で済んだ相続税が、持ち戻し期間が7年に延びることで342万円に増えることになる(延長された4年間の贈与のうち100万円分は非課税)。100万円超の増税となるわけだ。

 今回の税制改正では、「暦年課税」とは別の贈与税の課税方法で、相続時に課税額を合算する「相続時精算課税制度」の利便性を高めることも決まった。こちらの制度は累積2500万円まで贈与税を非課税にするものだが、手続きの面倒さや使い勝手の悪さから選択する人はほとんどいなかった。今後は「相続時精算課税制度」を選んだ場合にも毎年110万円以内の贈与については相続時の申告が不要になるなどのメリットが拡大しそうだ。

 相続・贈与を巡っては近年、大きなルール変更が相次いでいる。ベストセラーとなっているムック『週刊ポストGOLD 相続の大改正』では、専門家が様々な対応策を指南する。知らぬ間に負担増を強いられる落とし穴にはまらないためにも、ルール変更を機に多くの人が相続税対策を考え直すことになりそうだ。(了)

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