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「家族を捨てた父の生命保険金は欲しくない」受取拒否はできるのか、弁護士が解説

「生命保険金はいらない!」は通用するのか(イメージ)

「生命保険金はいらない!」は通用するのか(イメージ)

 遺族が困らないようにするための生命保険金だが、中には事情があって受取人が拒否したいというケースもあるようだ。だが、制度的にそうしたことは可能なのか。弁護士の竹下正己氏が実際の相談に回答する形で解説する。

【相談】
 家族を捨てた父が死んだようです。悩んでいるのは、保険会社から連絡があり、父は私を生命保険金の受取人にしていたみたいなのです。父に関することは、すべて拒絶しているので、受取りを拒否しているのですが、保険会社は「困る」と聞き入れてもらえず。このまま拒み続けた場合、何か罪に問われますか。

【回答】
 お父さんが、あなたを受取人に指定した生命保険契約は、第三者のためにする生命保険契約といわれるもので、『保険法』上、受取人の承諾や保険金受入れの意思表示を要することなく、受取人は当然に保険契約による利益を享受し、被保険者の死亡時には、保険金を受け取ることができます。

 ご質問では、あなたは保険金受取人になっており、被保険者であるお父さんの死亡時に、相続や遺産分割の手続きを取るまでもなく、保険金請求権を取得しています。しかも、保険金請求権は受取人の固有の権利と解され、相続財産ではないので、相続放棄の対象になりません。また、固有の権利ですから、受取人が相続人の場合で、仮に被相続人の債務超過などの事情があって相続放棄しても、保険金請求権は失いません。結局、保険金を受け取らなくても、単に権利行使をしないだけのことですから、罪に問われることもありません。

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