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「家族を捨てた父の生命保険金は欲しくない」受取拒否はできるのか、弁護士が解説

 ほっておいた場合、保険金の請求権は『保険法』で請求できる時から、3年で時効になるため、保険会社が時効の効果を援用すれば消滅します。あるいは、保険会社が供託しても供託金をもらう権利も、5年で時効となります。

 なので、お父さんの恩恵を受けたくないのであれば、保険金請求権の放棄を保険会社に通知すればよいのです。その場合、保険契約者(お父さん)が受取人になって、保険金は相続財産になるとの考えもありますが、現在の通説や裁判例では、保険会社の支払義務が免除されて債務は確定的に消滅すると解釈されています。ただ、それでは保険会社を利するだけです。

 生命保険金は、厳密には相続財産ではありませんが、相続財産とみなされ、相続税がかかるので、その相続税額の分だけを残し、他は有意義な寄付などに利用するというのは、いかがでしょうか。

【プロフィール】
竹下正己(たけした・まさみ)/1946年大阪生まれ。東京大学法学部卒業。1971年弁護士登録。

※週刊ポスト2023年2月10・17日号

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