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高額がん治療に変化 手術支援ロボット「ダ・ヴィンチ」や「光免疫療法」にも保険適用

重粒子線治療(時事通信フォト)

重粒子線治療(時事通信フォト)

自己負担300万円で断念

 ただし、従来の放射線治療との質的な違いはなく、すべてのがんに対してX線治療より優れているわけではないという。

「重粒子線や陽子線治療を受けることで、標準治療で助からないがんが助かるようになるケースはほとんどありません。X線が効きにくい骨軟部腫瘍は重粒子線治療が相応しいですが、それ以外については慎重な検討が必要です」(同前)

 がんの部位によって重粒子線や陽子線を照射する回数は異なるが、一連の治療費は約300万円とされる。保険適用のがんなら自己負担は1~3割で済むうえ、高額療養費制度の利用も可能だが、そうでなければ全額自己負担になることもある。

 過度な期待はできないといっても患者にとっては重要な選択肢になるだけに悩ましい。『ドキュメントがん治療選択』著者で会員誌「Voice of Souls」代表のジャーナリスト・金田信一郎氏はもうひとつの備えを提言する。

「私は保険嫌いですが、がん保険などの『先進医療特約』は絶対に入ったほうがいい。私が食道がんの治療を受けたがんセンターには陽子線治療施設がありましたが、保険適用ではないため、1回300万円ほどが全額自己負担となり、選ぶことができなかった。

 しかし、先進医療特約は2000万円くらいまで保障される商品であれば、再発して部位が違ってもそのたびに陽子線治療や重粒子線治療を受けられる。今後も新たな選択肢が出てくる可能性があることを踏まえると、先進医療特約は必須です」

 がん治療の選択肢はさらに広がっていきそうだ。

※週刊ポスト2023年3月3日号

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