マネー

年末までの期間限定「住宅取得等資金贈与」特例 少しのミスや勘違いで大損失になることも

今年いっぱいが期限の住宅取得等資金の非課税特例

今年いっぱいが期限の住宅取得等資金の非課税特例

 期間限定の“非課税枠”があり、相続・贈与税対策に活用できることで注目されるのが「住宅取得等資金贈与」の特例だ。子や孫が住宅を購入する際に資金を援助すると、最大1000万円までの贈与が非課税になる制度で、2022年度税制改正により適用期限は今年12月31日までとなった。税理士法人レディング代表の木下勇人氏の解説。

「通常は贈与額が年110万円を超えると、金額に応じて10~55%の贈与税が課されます。仮に1000万円を子供に生前贈与した場合、約180万円の贈与税がかかる。それがこの特例の適用を受ければまるまる非課税になるうえ、贈与した親は将来の遺産を減らせて相続税の圧縮にもつながります。節税効果は大きいと言えるでしょう」

 ただし、子や孫が取得する物件が特例の適用を受ける「要件」を満たしているかに注意が必要だ。登記簿上の床面積(マンションなら専有面積)が40~240平米であることや、中古物件では耐震性の証明を求められるケースもある。

「不動産業者も特に中小になるとその物件が適用対象か判断できるとは限らず、個々人で調べて要件を満たすと思っていたら後になって適用外だと判明することも少なくない。要件が細かいうえに、税務署への申告義務もあるので、特例を利用する際は税理士など専門家に相談しながら進めるべきです」(木下氏)

 また、入居時期を巡る失敗で適用を受けられないこともあるという。

「贈与は年内に済ませたうえで、翌年の確定申告が終了する3月15日までに入居と申告手続きを終える必要があります。新築のマンションや建売住宅は、工事が遅れて入居が間に合わないリスクもある。そうなれば特例の適用は一切受けられません。少しのミスや勘違いで大きな損失となりかねないので、期間限定の制度ですが慌てずに検討してください。2009年からスタートして延長されている経緯があるので、この年末以降も特例が続く可能性もあります」(木下氏)

注目TOPIC

当サイトに記載されている内容はあくまでも投資の参考にしていただくためのものであり、実際の投資にあたっては読者ご自身の判断と責任において行って下さいますよう、お願い致します。 当サイトの掲載情報は細心の注意を払っておりますが、記載される全ての情報の正確性を保証するものではありません。万が一、トラブル等の損失が被っても損害等の保証は一切行っておりませんので、予めご了承下さい。