サウナブームも一頃に比べると落ち着いてきた(イメージ)
昨今のサウナ人気に陰りが見えてきているのか──。一般社団法人日本サウナ・温冷浴総合研究所の調査によると、サウナ愛好家の推定人口は2016年の約2879万人からコロナ禍を経て、2023年には1779万人と大幅に減少している。さらに2022年から2023年の愛好家動向をみると、「1年に1回」「半年に1回程度」というライトユーザーは対前年比33.4%の増加となっているが、ミドル・ヘビーユーザーの減少が顕著で、特に月に15回以上利用するヘビーユーザーは▲41.2%と大幅に減少している。「サウナ離れ」の転機はどこにあったのか、サウナから足が遠のくようになったユーザーたちの声を聞いた。
ヘビーなファンが激減している(図表は日本サウナ総研より)
急なブームで混雑に「並びたくない」
建設業界で働くTさん(40代男性)は仕事終わりにサウナに行くのを日課にしていたヘビーユーザーだった。しかし、3年ほど前からは行く頻度が減少したという。その理由として、ブームによる混雑で「“安らげる空間”ではなくなったように感じる」ことを挙げる。
「仕事柄どうしても汗をかくので、一日の終わりにサッパリしたくて、サウナ付きの銭湯やサウナ施設によく通っていました。でも3、4年前から、やたらテレビやSNSでサウナ好きのタレントやサウナ施設が取り上げられるようになると、急にどのサウナにも多くの人が来るようになった印象です。俺としては『サウナが目立つ日が来るとは』なんて思っていたんですけど、メディアの力は大きかったということです」
サウナで有名な銭湯以外にもこの影響はあったようだ。
「どこのサウナでも、それまでは並ぶことなんてなかったのに、結構な頻度で『サウナ待ち』が発生するようになって、気軽に行けなくなりました。疲れた体を癒したいだけなのに、サウナのために並んで待つなんて、ますます疲れます。すると段々とサウナに行くのが億劫になって、今では仕事終わりは基本的に直帰です。現場が田舎で確実に人が少ないところなら行くかな……程度になってしまいました」(Tさん)