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アラ古希・オバ記者が考える「自分の体のことは自分が一番わかっている」の間違い 「もっと強く言えばよかった」の後悔と「他人の声に耳を傾けよ」の教訓

「他人の声に耳を傾ける」ことの大切さを身をもって知ったという“オバ記者”こと野原広子さん

「他人の声に耳を傾ける」ことの大切さを身をもって知ったという“オバ記者”こと野原広子さん

 還暦を過ぎても働く人は多いが、年齢を重ねれば、その分、体にガタがくるのは自然なこと。しかし、自分では体の異変に気付けないことも多い。女性セブンの名物ライター“オバ記者”こと野原広子氏が、他人の声に耳を傾けることの重要性について綴る。

最近気になる人の「病気認知能力」

 まぁ、そういう年頃ってことよね。

 ずっと外に向いていた目が、ここ数年は否応なく自分の体に向くようになった。そんな68才の私に、ひと世代上のK子さんは「介護と相続は終わったの? じゃあ、あとは病気自慢と墓の話だね」だって。「ちなみに、男性は叙勲の話」となると、なんかもう本格的に年寄りの仲間入りよ。

 で、そんな私が最近気になっているのは、人の「病気認知能力」のことなの。

 というのも、少し前まで4人に1人といわれていたがん罹患がいつの間にか2人に1人。「聞いてないよ~」と騒いだところでどうにもならない。その治療法もどんどん開発されている。ということは、いかに早期発見するかが運命の分かれ道になるんだよね。そこで浮かんだのが、「自分の体のことは自分が一番わかってる」という決まり文句よ。この自己判断をどのくらいアテにしていいのか、考えたら止まらなくなった。

 あれは数年前。親友のF子と話をしていたら、なんとなく顔色がいつもと違って見える。それで「最近体調はどうなの?」と探りを入れると、「うーん、そういえばお酒の量が減ったかなぁ。飲みすぎないように気をつけているしね」とか、「ちょっと疲れやすくなった気がするけど、まぁ、年も年だから」と、不安材料とそれを打ち消す言葉がセットになって返ってくる。それで検査をするのしないのという話に移ると、「自分の体のことは……」となって話が終わるってことを何度も繰り返したんだわ。

 F子は末期の膵臓がんと告知されてから2か月でこの世を去ったけど、膵臓がんは自覚症状がないなんてウソ。彼女は見た目は華奢だけど、どんなに飲んでも、「朝起きるのがツライなんてことはないわね」と、末期の膵臓がんと診断される1か月前まで言っていたの。でも、明らかに様子がヘン。どこがどうとは言えないけどヘン。強いて言えば、目に力がない。話していてもやる気のない否定的な答えしか返ってこない。そして「前より飲まなくなったよ」「前より早く寝てるよ」のように、「前より」が口癖になった。亡くなる数年前からだ。

 私はだんだん彼女を避けるようになった。

 いまでこそ「なんであのとき病院に引っ張って行かなかったのか。もっと強く言えばよかった」と後悔するけど、あのときに戻ったらまた同じことを繰り返すに違いない。そして、心のどこかで彼女を「現状認識が甘い」と罵っていたと思う。

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