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ビジネス

国民民主・玉木雄一郎代表×楽天・三木谷浩史社長が「働き方改革」で激論 三木谷氏「『働き方改革』は撤回して『働きがい改革』を」、玉木氏「税制が労働投入を妨げている」

楽天・三木谷浩史社長と国民民主党・玉木雄一郎代表が、本当の「働き方改革」に必要なことを語り合った

楽天・三木谷浩史社長と国民民主党・玉木雄一郎代表が、本当の「働き方改革」に必要なことを語り合った

 政界、財界で既得権益の「壁」を壊そうと行動し、それゆえに強い“逆風”に晒される局面も目立つのが、国民民主党代表の玉木雄一郎氏(56)と楽天グループ会長兼社長の三木谷浩史氏(60)。そんな2人が初対談。日本が抱える問題点とその解決策について激論を交わした。ジャーナリスト・大西康之氏が聞き手となった対談の中から、働き方改革について語り合った部分を紹介する。

最大の問題は日本経済が成長していないこと

──国民民主党は前回の衆院選で「国民の手取りを増やす」という主張が有権者に支持され大躍進しました。今後、さらに手取りを増やすために、何が必要だと考えますか。

玉木:今だといくら働いても税負担や社会保障負担が大きくて手取りが増えない。そしてエネルギーを輸入に依存する日本は電気代などのコストが高くて手取りが増えない。私の事務所も秘書が「ウチは賃上げないんですか」と聞くからやるんですけど、やっぱりしんどい。賃金を上げたら社会保障負担も事業主負担もかかるから、躊躇するんです。

 要は所得の増加以上に増え続ける税負担と社会保障負担をどう抑えるのか。今回、また与党は選挙前に現金を配ろうとしていますが、税収が上振れ、つまり予定よりも多くて税金が余っているなら、減税で国民に返すべきです。私は減税が最大の規制緩和だと考えています。

三木谷:経済政策について、最大の問題は(日本経済が)成長していないということですよ。やはり売り上げを増やさないと配分も増えない。

 直近で問題なのは「働き方改革」という名の労働規制を行なったこと。これを撤廃すべきです。「働きがい改革」にして、働きたい人はもっと働けるようにしないと。Open AIや(中国のAI大手)Deep Seekの社員が夕方5時や6時に帰っていますか? 一律規制というのが間違ってる。社会主義じゃないんだから。

 あとは先進技術や人材をどう集めるかが重要になるが、この国は税金が高すぎて優秀な人材が来ない。この超高額税制を是正しないと、逆に優秀な人材が流出していく。日本は所得税(と住民税を合わせて)の最高税率が55%かな。プラス相続税が55%。100稼いでも80は国が持っていく。自分でも時々考えますよ、なんで俺、働いてるんだっけと。これについては玉木さんに頑張っていただいて、改革してもらいたいと思っています。

──様々な注文が出ましたが、どこから改革に手をつけるべきと考えるか。

玉木:経済改革については、シンプルに原則に従ったらいい。経済成長を促すのは「労働投入」と「資本投入」と「イノベーション」です。ヒトとカネとチエなんです。ヒトは、さっき三木谷さんがおっしゃったように、人手不足ですよね。残業規制が理由の1つかもしれないが、これはある程度は必要です。猛烈に働けと言っても、最近はなかなか人が来ないので、働きやすさも追求しないといけない。

三木谷:そこは違いますね。

玉木:いやいや、私自身、もともと財務省ではモーレツ社員で、そう言いがちなんですが、ウチは三木谷さんみたいにワンマンではやっていけない。一方で働きやすさだけ追求したホワイト企業だと、辞めちゃう人もいる。つまんないから。だから二軸必要で、働きやすさと同時に働きがいが必要だと思う。そのなかで一定の職種については本人の同意のもと、もっと柔軟に働けるようにする。本人が嫌がっているのに、無理やり働けってのはさすがにダメなので。

三木谷:もちろん。

玉木:労働投入を妨げているのは実は税制なんです。103万円の壁を上げろ、所得税の控除額を上げろと言ったのは、皆さんの手取りを増やすのもありましたが、あれはサプライサイドの政策で言ったんです。

 だってパートの人や学生バイトも賃金が上がって、9月とか10月で103万円の上限に達してしまう。なので控除額を上げることによって労働投入を増やしていこうという政策でもあるんです。

 あとは今、トランプ政権でハーバード大学から研究者が追い出されてるじゃないですか。労働力として移民を入れるというよりも、そういう高度人材を惹きつけるのが大事です。

三木谷:その部分は僕の意見は違って、日本人の労働力だけで社会を維持していくのは難しいと思っています。やはり人口は減っていきます。すると経済は間違いなくシュリンクしていく。

 政治家の皆さんは「移民という言葉を使った瞬間に選挙に負ける」と仰いますが、今や地方の企業も外国人がいないと無理なんです。そこは真剣に外国人をシステマティックに、安全に受け入れていく議論をする段階にきていると思います。

 あと現実的に考えるともう、働き方改革の廃止、働く自由の回復。それでみんな稼げばいいんです。

玉木:働き方改革の全廃は厳しいし、現実的じゃないと思いますよ。

三木谷:いや、そうなっている国もあるじゃないですか。今の制度だと、フリーランスや兼業は何時間働いてもいいわけですが、フリーランスと従業員になるのと何が違うのとなって、おかしいですよね。ワーク・ライフ・バランスと言いますが、僕はワーク・ライフ・シナジーだと思う。両方充実させていけばいいわけです。何で政府が「ここまでだ」と線を引くのか。

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