長引く物価高で変わる消費者心理
店舗数の多さや営業時間の長さで、生活に欠かせないという人もいるだろうコンビニエンスストア。便利なぶんスーパーやディスカウントストアより商品価格が割高になりやすいが、“便利さ”が上回り、惣菜やおにぎりなどを購入していた人も多いのではないか。しかし物価高の昨今、コンビニ惣菜も値上げが相次ぐことで、もはや便利さよりも価格面の厳しさが上回りつつある。
そうしたなかで、以前は価格面から足を運びにくかった専門店や飲食店、高級スーパーなどに、「コスパの良さ」を感じるようになった人たちも少なくないようだ。消費者の買い物心理はどう変わっているのか、「コンビニ離れ」が加速した人の声から探った。
コンビニおにぎりは「200円時代」、専門店の方が「コスパがいい」
「コンビニのおにぎりって、昔は100円くらいだったという感覚がどうしても抜けないんですよね。もうだいぶ値上がっていることや、小さくなっていることはわかっているんですが、コンビニに行くたびに、『高くなったなあ』って思ってしまう。もう昔の記憶を消したいぐらいです」
そう嘆くのは、IT企業勤務の40代男性・Aさんだ。例えば、根強い人気の具材「鮭」。コンビニのおにぎりといえば、Aさんのように100円台前半、高くても100円台半ばというイメージを持つ人も少なくないだろうが、セブン-イレブンでは「手巻おにぎり 炭火焼紅しゃけ」(213円)、ファミリマートが「手巻 紅しゃけ」(210円)、ローソンは「手巻おにぎり 熟成紅鮭」(203円)と、今やおにぎりは「200円時代」に突入。大きいサイズや具材によっては、300円を超える商品もある。
コンビニ商品の高級化が進むなか、Aさんはコンビニより専門店や飲食店の方が「相対的に安く見える」と語る。
「コンビニおにぎりに200円かけるなら、できたてを買えるおにぎり専門店で200円とか300円を出したほうがコスパがいいと感じるようになった。昔は高いと思っていたものが、安いものがより値上がってきた結果、価格差が縮まってきて逆に安く感じるようになったわけです」(Aさん)