インタビューに答えるN高・R高の奥平博一校長
「通信制高校の生徒数が10年で1.6倍に増加」──2024年度、その生徒数は約29万人となり、全国の高校生の11人に1人が通信制高校で学んでいる。全日制高校からの転入などもあるが、近年は中学卒業後に直接進学するケースも多い。不登校など学校に通えない事情がある生徒ばかりではない。なぜ今、10代の若者は「通信制高校」を選ぶのか。3万人超の生徒が学ぶN高グループ校長に、フリーライターの清水典之氏が話を聞いた。
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近年、通信制高校に進学する生徒が増加している。文科省の「学校基本調査(2024年度)」をもとにリクルート進学総研が集計したデータによると、2024年度の通信制高校在籍生徒数は29万87人で過去最高となり、10年前の2015年度と比較すると、約1.6倍に増加した。全日制、定時制、通信制を合わせた生徒数は約320万人なので、いまや11人に1人が通信制高校に在籍していることになる。学校数も2024年度に初めて300校を超え、公立79校、私立224校となった。
この303校の中で、もっとも在籍生徒数が多いのが、学校法人角川ドワンゴ学園が運営するN高等学校・S高等学校・R高等学校(2025年4月開校)である。N高校が開校した直後の2016年5月、生徒数は1570名だったが、9年後の2025年3月末時点でN高・S高の合計で3万2613名と、20倍以上に膨れあがった。
なぜこの学校にこれほど多くの生徒が集まってくるのか。そもそも、N高、S高、R高の違いは何か。N高・R高の奥平博一校長が言う。
「N高の定員は、申請時に2万人としたため、生徒数がそれを超えそうになったので2021年4月にS高を開校したという経緯です。今後、さらに4万人を超える可能性があるので、2025年4月にR高を開校しました。
基本的にカリキュラムや学費、全国に約100箇所ある通学コースのキャンパスなどは3校とも共通で、唯一の違いは本校の場所です。N高は沖縄県うるま市、S高は茨城県つくば市、R高は群馬県桐生市に本校があり、2年次に1回、本校での必修スクーリングがあるので、(入学希望者は)本校所在地で選んでもらえばいいと思います」(奥平氏)
教育課程の中身は基本、3校とも共通なので、沖縄旅行に行くつもりでN高を選ぶとか、家から近いのでS高を選ぶとか、そういった基準で選べばいいという。