樹木葬に意外な落とし穴も(写真:イメージマート)
生まれ育った地域を離れて菩提寺を持たない人が増えるなか、お墓でも新たな潮流が出てきている。国内唯一の“終活”専門誌『月刊終活』を発行する鎌倉新書が行なった「お墓の消費者全国実態調査(2025年)」によると、2024年に墓を購入した人の約半数が「樹木葬」(48.5%)を選び、「一般墓」(17.0%)、「納骨堂」(16.1%)、「合祀墓・合葬墓」(14.6%)の購入者を大きく上回った。
「樹木葬は、ここ数年の調査でいずれも購入率50%前後を維持しています。平均購入金額は67.8万円と一般的な墓と比べて安価かつ多くの樹木葬で永代供養を謳っている点が支持されています。お墓の継承者問題に悩む人が多いなか、昨今のトレンドに合致しているのだと思われます」(鎌倉新書広報・白井夢乃氏)
ただし、樹木葬と聞いて“里山で自然に還れる”といった漠然としたイメージが先行して購入すると、思わぬ失敗を招きかねないという。『月刊終活』(鎌倉新書刊)編集長の吉住哲氏が語る。
「樹木葬と言っても山の中で墓標となる樹木の下に遺骨を埋める里山型や、寺院の庭の一角に墓石代わりに樹木や花木を墓標として周りに遺骨を納めるタイプまで様々あります。里山型の樹木葬は山奥に多いので場所によってはアクセスが悪く、高齢の遺族がお参りに行けないといったケースもあります。一方で都市型の霊園や寺院の樹木葬は区画が狭かったり、季節によってはイメージと違ったと後悔する声もあります」
数年後に合祀墓に移される樹木葬も多い
自然に囲まれた樹木葬の広告に目を奪われがちだが、失敗しないためには前もって見学することが欠かせない。
「死去直後に方針を決めなくてはならない葬儀と比べて、お墓は急いで決めなくてもいい。現地に足を運び、実際の様子を見てから選びましょう」(白井氏)
コストや将来の管理体制にも気をつけたい。
「契約により後で家族が一緒に入る際に費用が発生するというケースもあります。また、数年後に合祀墓に移される樹木葬も多いので注意しましょう」(同前)
契約により様々だが、5年や7年、13年……と区切って、期間が来ると合祀墓に移される樹木葬は多い。一度合祀されると他人の遺骨と一緒にされるため、お骨を取り出せずに改葬ができなくなる。契約前にきちんと確認することが大切だ。
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※週刊ポスト2025年8月1日号