近年増えているセルフホワイトニングのトラブルとは?
SNSで無料体験の広告をみて、エステサロンに行き、歯の「セルフホワイトニング」を行い契約などをめぐってトラブルに巻き込まれるケースが増えている。トラブルの内容や問題点について詐欺・悪徳商法に詳しいジャーナリストの多田文明氏が解説する。
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SNSで無料体験の広告をみて、エステサロンに行き、歯の「セルフホワイトニング」を行いトラブルに巻き込まれるケースが増えています。
国民生活センターによると、寄せられた相談件数は、2022年が86件、2023年は174件で、2024年度は236件(2025年度6月現在)となっています。2024年度の相談の平均金額は5万2000円です。なかには回数券を買う形で10万円を超えてしまう場合もあるといいます。
セルフホワイトニングとは「消費者自身が、お店のエステ機器を使って、薬剤を自分で歯に塗布し照射の施術をすること」です。
相談は20代、30代の女性が多いとのことですが、美に関心がある男性も多く、「歯を白くしたい」と思う気持ちにつけこむような勧誘には注意が必要です。この契約での厄介な点は「勧誘者の言葉にのせられて、契約してしまった」と後悔して、クリーング・オフ(8日以内の無条件解約)をしようとしても、それができないところです。
自分自身で施術の場合は特商法の対象外
同センターが発表している相談事例には次のようなものがあります。
20代女性は、ネットで歯のセルフホワイトニングのサイトを見つけました。無料体験を予約して、サロンに向かいます。体験した後、店員から「無料体験は、今日契約する人だけの特典で、体験のみの場合は料金が発生する」といわれます。予約したサイトにはそのような説明はなかったが、体験が有料になるならと思い、女性はクレジット決済で契約をします。決済後に「クーリング・オフの適用はなく、利用期間内に中途解約する場合は違約金がかかる」などの説明がありました。体験の効果も感じられないので、違約金を支払わずにクーリング・オフできないかという相談です。
また、30代女性は、アプリで歯のセルフホワイトニングの体験を予約してサロンに向かいます。担当者から機器の使用方法の説明を聞いて自分で施術しました。そして「定期的に施術したほうがよい」といわれ「今日だけのキャンペーン価格」と勧められたこともあり、10回分3万円の回数券をクレジットカードで決済しました。帰宅した後、すぐに解約を申し出ましたが、「解約できない」とサロンからいわれています。
エステティシャンが施術を行う、エステティックサロンでは(期間が1カ月を超え、金額が5万円を超える場合)特定商取引法(特商法)により、書面交付から8日間以内はクーリング・オフができます。しかし「『セルフホワイトニング』は、自分自身で機器などを使用するため、一般に同法の対象外となるケースが多く、クーリング・オフなどは適用されません」と、国民生活センターは話します。
歯医者さんに行ってホワイトニングする方もいると思いますが、これは、歯科衛生士の免許がないとできないことです。
「サロンのエステシャンは、そうした免許がないので、機材の使い方を教えて、本人にホワイトニングをさせます。つまり場所と機材を提供して、エステシャンが施術をしていないので、特商法における中途解約のルールも適用されないことになります」(同センター)