踏面ブレーキ(片抱き式)。東京メトロ深川車両基地一般公開時に筆者撮影
鉄道は、多くの人にとって交通の手段としてだけでなく、趣味や娯楽の対象としても親しまれており、ときに人の知的好奇心を刺激してくれる。交通技術ライターの川辺謙一氏による連載「鉄道の科学」。第35回は「電車のブレーキ」について。
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今回のテーマは、「電車の基礎ブレーキ」です。基礎ブレーキは、摩擦を使ってブレーキ力を発生させるブレーキ機構です。
電車のブレーキ装置と基礎ブレーキ
電車のブレーキ装置の分類。基礎ブレーキは、ブレーキ力を発生させるブレーキ機構の一種。筆者作図
ブレーキ装置は、電車が安全に走るうえで重要な装置です。それゆえ、電車運転士を目指す人は、ブレーキ装置について長い時間をかけて勉強します。
ブレーキ装置は、ブレーキ機構とブレーキ制御に大別されます。ブレーキ機構は、ブレーキ力を発生させる機構です。ブレーキ制御はブレーキ力を制御する装置です。
ブレーキ機構には、基礎ブレーキと動力ブレーキがあります。今回は摩擦を利用する基礎ブレーキのみを紹介し、次回電車の動力ブレーキ(電気ブレーキ)を紹介します。なお、ブレーキ制御の説明はむずかしいので、ここでは割愛します。
基礎ブレーキには、おもに踏面ブレーキやディスクブレーキ、レールブレーキがあります。電車でよく使われるのは、踏面ブレーキとディスクブレーキです。