クマ対策で自動ドアを“手動化”するケースが増えている(秋田県。時事通信フォト)
昨今世間を騒がせている「クマ」。目撃件数は増加を続け、環境省の調査によると4~9月のクマ累計出没回数は直近5年で最多、クマ被害による死亡件数も10月末段階ですでに平成20年以降の年間最多を上回った。問題をより深刻にしているのは、クマの“生活圏への侵入”だ。役場や商業施設、駅など、我々の生活の身近なところに現れている。
そうしたなか、クマが自動ドアから建物内に侵入する事例が発生していることを受け、自動ドアをやめ、手動にする施設も増えている。安全のためとはいえ、想定していなかった対策により「生活が不便になった」という声もあがる。
“手動”になったドアが「とにかく重たい」と悲鳴
自動ドアの“手動化”。クマの侵入を防ぐ対策の一つだが、自動扉にはそもそも「取っ手」がついていないことも多く、利用者からは「開けづらい」という声も漏れる。青森県民の40代男性・Aさん(会社員)は、手動になった自動ドアの重さに悲鳴を上げる。
「クマ対策で、どこもかしこも自動ドアが手動になっているんですが、とにかく重たい。自動ドアってこんなに重いのかと思うほど重いんです。取っ手もないので、大変です」
Aさんの妻・Bさんも、日常の買い物で小さくない変化を感じている。
「クマ対策で、よく行くコンビニやスーパーが“手動ドア”になりました。それまで、少量の買い物ならレジ袋をもらわず、駐車場まで商品を手持ちで行っていたのですが、ドアが手動、かつ重たいとなると、両手を空けておく必要があります。自動ドアの便利さを痛感しています」
こうした不便は青森に限らない。新潟県に住む20代女性・Cさんは、“手動ドア”による思わぬ影響を語る。
「私でも、手動になった自動ドアは重たいなと思うのに、シニア層の方は本当に厳しそう。車椅子の方もいますしね。大体周囲の人や店員さんが助けていますが、時々閉める人がいなくて、開けっぱなしになっていることも……。そうなると、せっかくのクマ対策も意味がない。買い物も気軽にしにくくなったなと思います」
