元日銀副総裁で日本経済研究センターの岩田一政理事長
前例のない異次元緩和から金融正常化へと大きく舵を切る日本銀行。2007年の利上げ時に日銀副総裁を務め、個人消費の弱さなどを理由に利上げに唯一反対したのが日本経済研究センターの岩田一政理事長だ。今の金融政策をどう見るのか。ノンフィクション作家の広野真嗣氏のインタビューに応じた。
――日銀は昨年12月19日の金融政策決定会合で、政策金利を0.25%引き上げ、0.75%とすることを決めた(1月23日は据え置き)。日米の金利差が縮まり、円が買われ円高になるかと思いきや、逆に円安が進行しました。このセオリーに反した動きをどう理解しますか。
岩田:一般的な経済理論では、2国間の金利差は為替レートに影響を与える。これはケインズが言い始めたことです。
この相関が崩れたのは昨年5月、トランプ氏が「レベレーションデイ(解放の日)」と宣言して発表した時から。トランプ政権が世界中の国との相互関税を打ち出すと、マーケットが荒れ、株価が下がり、金利が下がり、債権価格も下がるというトリプル安になった。実はそれ以降、アメリカでは内外の金利差にドルが反応していない。反応しなくなっちゃったのです。
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【プロフィール】
岩田一政(いわた・かずまさ)/日本経済研究センター代表理事・理事長。1946年生まれ。1970年東京大学教養学部教養学科卒業、経済企画庁入庁。OECD勤務、経済企画庁経済研究所主任研究官を経て、1986年東京大学教養学部助教授に就任。2003年、日本銀行副総裁。内閣府経済社会総合研究所所長を経て現職。
広野真嗣(ひろの・しんじ)/ノンフィクション作家。神戸新聞記者、猪瀬直樹事務所スタッフを経て、フリーに。2017年、『消された信仰』(小学館文庫)で小学館ノンフィクション大賞受賞。近著に『奔流 コロナ「専門家」はなぜ消されたのか』(講談社)。
