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川辺謙一 鉄道の科学

《東京メトロ丸ノ内線でも導入》無線を使った鉄道の信号保安システム「CBTC」の役割 列車の間隔を短くできるので運行の遅延回復も容易に

日本の地下鉄で最初に「CBTC」を導入した東京メトロ丸ノ内線

日本の地下鉄で最初に「CBTC」を導入した東京メトロ丸ノ内線

 鉄道は、多くの人にとって交通の手段としてだけでなく、趣味や娯楽の対象としても親しまれており、ときに人の知的好奇心を刺激してくれる。交通技術解説者の川辺謙一氏による連載「鉄道の科学」。第38回は「CBTC」について。

なぜ鉄道に信号保安システムが必要か

 今回のテーマは「CBTC」です。これは、世界の多くの都市鉄道に導入されている無線を用いた信号保安システムで、Communications-Based Train Controlの略称です。近年は日本の都市鉄道でも導入されているので、聞いたことがある方もいるでしょう。

 今回は、「CBTC」が開発された背景をたどりながら、そのおもな特徴を解説します。

 まず、本題に入る前に、信号保安システムの歴史をたどりながら、「CBTC」が開発された経緯を探ってみましょう。信号保安システムは、列車を安全に走らせるための装置の総称です。

 なぜ信号保安システムが必要なのか? その理由は、前方に障害物があったときの自動車と鉄道車両の危機回避方法をくらべるとよくわかります。

自動車は急ハンドルや急ブレーキで障害物との衝突を回避しやすい。画像生成:Gemini

自動車は急ハンドルや急ブレーキで障害物との衝突を回避しやすい。画像生成:Gemini

 自動車では、走行中にハンドルを切れば、進路を変えることができます。また、ブレーキをかければ、短い距離で停止することができます。このため、前方にある障害物との衝突を回避しやすいです。

 いっぽう鉄道車両では、こうはいきません。進路は線路(軌道)によって制限されているので、走行中に変えることができません。急ブレーキをかけても、自動車ほど短い距離で停止することができません。

 このため鉄道では、列車同士の衝突などの事故を回避するために信号保安システムを導入し、安全性を高めてきた歴史があるのです。

次のページ:「閉そく」と従来の信号保安システム
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